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【佑月birthday SS ⑫】
情緒不安定の原因は分からないが、大半は恐らく佑月のせいだろう。ならばそれを払拭出来るのも佑月だけだ。誤魔化すような手だが、須藤も満更でもないのか、佑月を抱く腕の力が強くなった。
須藤のマンションに着き、玄関扉を開けるや須藤は半ば強引に佑月を押し込み、貪るように唇を重ねてきた。
「んん……ん……」
呼吸まで奪われ苦しいが、須藤から強く求められる事が嬉しくて佑月は必死に応える。まだまだ自分に夢中になってくれているのだと安心するのだ。
「んっ!」
須藤の指が性急に後ろへと回り、佑月は慌てて唇を解き、腰を引いた。
「仁、今夜は悪いけどムリだから。腫れてて痛いんだよ」
「……分かった」
不満そうではあるが、自分が原因だという事は理解しているようで渋々と須藤は答える。
「そうだ」
佑月はここでふと妙案を思いつき、須藤の顔を見上げた。須藤は目で何だと問い掛けている。
「俺、ちょっと試してみたいことがあったんだよね」
「試してみたいこと?」
「うん」
佑月は一人楽しみにしながら、とりあえず夕食だと須藤が頼んだ寿司を堪能した。
「で、試してみたい事とは何だ?」
ソファでブランデーを傾ける須藤は、スーツのジャケットだけを脱ぎ、ベストとスラックスの姿。本当に極上の男だと見惚れつつ、佑月は須藤の前に立った。佑月を見上げる須藤の顔は恐ろしい程に整っているが、それ故に表情が無いとどこまでも冷たく見える。しかし目の奥は佑月を熱く映しているのが分かり、佑月も高揚する。
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