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【佑月birthday SS ⑮】
乳首に男らしいも何もないとは思うが、佑月のものとはまるで違う。桃色ではないし、乳首も大きくない。卑猥にも見えない。身体の一部分として主張することなく胸元を飾っている。須藤と出会う前までは佑月の乳首もこんなに大きくなかったはずと、ワイシャツの上から自身の乳首に触れる。
「なんだ。やっぱり触ってほしいんじゃないか」
「ちがっ……触るなって」
佑月の指を退けた須藤の指が、佑月の乳首を捏ねて潰す。佑月は直ぐにその手を払い除けた。
そして気を取り直し、佑月は須藤の胸に舌を這わせていった──。
夢中で須藤の乳首を舐めたり吸ったり、時には噛んでみたりと、自分がされると気持ちいいと感じる愛撫をしているが、須藤の反応が何も無い。
うんともすんとも言わない。
「ねぇ……気持ちよくないの?」
「全く」
「……」
即答され、佑月はあまりのショックで固まってしまう。愛する人を気持ちよくさせたい。セックスをする時はそんな思いで愛撫をする。それなのにどうだ。〝全く〟だ。
佑月は悲しくなり軽い眩暈を覚えたが、男の乳首はそんなものかと思い直す。佑月も初めは何も感じなかった部位だ。それを散々弄られ、尚且つ〝好きな男〟に触れられ……とまで考えて再び佑月は落ち込んだ。
「だが視覚的にはかなりくるな」
「え……」
落ち込む佑月を慰めるかのように、須藤は佑月の頭を優しく撫で下ろす。
「どんな表情 でしてるのか分かってないだろ。それにここも」
「あっ……!」
須藤に突然下腹部を掴まれる。驚いた佑月は腰を引こうとしたが、がっしりと掴まれているせいで動く事が叶わなかった。
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