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【佑月と須藤と真山と ②】

 須藤は直ぐにスマホを手に持つと電話に出る。何故か須藤が少し緊張している空気を佑月は感じた。 「……はい」 (は……はい!? え、仁がちゃんと応答するの初めて聞いたぞ)  いつもは『なんだ』か『なんだ』か『なんだ』……たまに『あぁ』。そして無言だ。  佑月はあまり須藤に電話はしないが、かけた時は『どうした?』か『珍しいな』と、一応それらしく応答はしてくれるが。  隣で妙にぎこちない須藤に、佑月はジト目を向けた。その須藤は佑月を見ないよう、少し背を向けて応答している。 「はい、隣に。もちろんですっ!」  突如と、須藤が大きな声を出す。  にわかに、佑月に猜疑心が芽生えだした。これは何かのドッキリなのだろうか。佑月を無視して反応でも見ているのだろうか。しかし須藤がそのようなイタズラものに加担するとは思えない。  数時間前までは愛情をぶつけるように佑月を抱いていたため、愛が冷めたというわけではないだろう。冷めたなら、凍えそうな程の冷たい目で見てくるはずだ。  一体どうしたのだと頭を捻っていると、突然リビングからドタドタと慌ただしい音が聞こえてきた。 「な、なに?」  怖くて佑月は咄嗟に須藤の腕を掴んだ。今度は須藤も振り払うことはなかったが、微動だにせずにいる。しかも更に緊張しているようだ。 「佑月!」  大きな音を立て、乱暴に開け放たれた寝室のドア。  その先にいたのは、なんと真山だった。しかも髪もセットされず、シャツとスラックスを慌てて引っ掛けたという出で立ちだ。  その真山が、呆気に取られる佑月へとまっすぐにやってくる。佑月はチラリと須藤を見るが、須藤は相変わらずこちらを見てくれない。  そもそも真山が主である須藤の許可も得ず、無断で部屋に入るなど有り得ない。しかも最もプライベートな部屋に、粗雑にドアを開け放ち、ズカズカ入ってくるなど、全くもって真山らしからぬ行動だった。 「佑月は大丈夫なのか?」  真山がそう佑月に訊ねながらシーツを引っ張ると、そのまま佑月の身体を包んで横抱きにしてきた。 「え!? ちょ……ちょっと、真山さん!?」  

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