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【佑月と須藤と真山と ⑦】

「……どうしたの?」 「いや、何でもない。何とか早く戻れる方法を探さないとだな」 「そうだね……」  明らかに須藤は話をはぐらかした。きっと何か気に食わない事があったのだろう。舌打ちしておきながら、何でもないは無いだろうと佑月は思ったが、追求してもきっと良い事はない。佑月がきっと責められるような気がしたため、内心でホッと息をついた。  須藤の身体が行ってしまい、部屋には佑月と真山の身体が残る。何ともシュール過ぎて、頭では理解していても目の前に映る人物は須藤ではなくて真山だ。須藤だと感じることは出来ても、どうしても視覚から得る情報が優先され、出ていった須藤の身体を追いたくなる。 (俺がこんな風だと、仁が可哀想だとは思うけど……どうにも思考が追いつかない)  須藤が口にしていた通りに、何とか早く元に戻れる方法が知りたい。しかし本人らが全く原因となる事が分かっていないのに、佑月に方法など分かるはずがなかった。 「仁、仕事はどうするんだ?」 「スケジュール管理は全て真山がしている。対面があっても俺と常に行動している真山だ。俺以上に熟知しているから問題ない」 「おぉ……確かに」  滝川が言っていたことを佑月は思い出した。真山は一人でも仕事を回せる程の頭脳を持っており、ボスよりも早く情報を収集し、有益となる仕事だけをボスに回すなど、全ての仕事内容は完全把握しているという。秘書の鑑でエキスパートだと滝川が褒めそやしていた。  須藤も口にしている通り、仕事面で困る事は無さそうだと分かり安堵するも、二人の生活環境はまるで違うという問題がある。  とにかく二人が元に戻るまでは、三人でここで暮らそうと佑月が提案すると、須藤も反論は無いようで承諾した。 「佑月先輩、おはようございます!」 「成海さん、おはようございます!」  何でも屋【J.O.A.T】の事務所にいつものメンバーが出勤してくる。佑月は三人に挨拶をしてから、ソファに座るように勧めた。 「どうしたんすか?」  佑月の前に座った海斗が訊ねると、皆の視線が一気に佑月へと集まった。 「あのさ……シュール過ぎて信じてもらえないかもだけど……」 「はい」  息ぴったりな三人の返事。そして佑月から語られる話に三者三様な反応を見せた。 「それは……かなり大変じゃないですか」 「マジですか!? あの二人がって、ちょっと面白……」 「須藤さんと真山さん!? え、え、どんな感じなんだろう! あれ、でも表情に関してはあんまり変わらないのかな?」  反応はそれぞれ個性あるが、誰も佑月の言うことに疑いを持っていない。それがたまらなく嬉しかった。 「仕事面は大丈夫なんだけど、プライベートな時間となるとね。二人には申し訳ないけど、俺もなかなか切り替え出来なくて、ちょっと焦ってる。なんとか元に戻れる方法とかがあればいいけど……」  四人で時間がある時に色々とネットなどで調べて方法は探って見たが、こんな事が非現実過ぎて、有益な情報など何も出てこなかった。

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