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【佑月と須藤と真山と 最終話】
「あっ……イク……っ」
佑月は握りしめられていた須藤の手を、強く握り返した。須藤も同時に達したようで、自身を佑月から抜くと、愛の証を佑月の腹の上にたっぷりと放った。三週間ぶりの熱が嬉しくて佑月は無意識に、放たれた白濁液を指で掬って口に含んだ。
そんな佑月を見て、須藤の喉仏が動く。まだまだ足りないと須藤の目と、男茎が伝えてきている。しかし須藤は佑月を自身の上に乗せると、ただ抱きしめるだけに留めていた。
「……仁?」
「ん?」
「もうしないのか?」
「あぁ、今夜はな」
「でも……」
お互いの性器が重なり合うが、須藤のモノはかなり硬く、熱い。いつもなら容赦なく第二ラウンド突入だ。
「俺はこれでも反省してる。お前に負担かけていると分かってるのに、お前を前にすると自制心が利かない。だが、今回のことはあの妙な奴の仕業でもあるが、佑月の苦悩があったからだろ? 悩ませ、苦しめたのは俺だからな」
「仁……」
佑月は須藤の顔を上から見下ろす。その目はまだ熱い情欲があるが、詫びる想いの方が強かった。
三週間前の夜は、確かに身体が辛くてつい願ってしまったが、情事の後は常によく思っていた事だった。それなのに何故今回に限ってこんな事になってしまったのか……。悔いても仕方ない事だが、須藤にこんな愁然とした表情をさせるつもりなど毛頭なかった。
こんな非現実的な事は、もう二度と起こらないで欲しい。佑月は涙が流れそうになるのを必死に我慢をして、須藤の首筋に抱きついた。
そして忘れてならないのは、今回の件では一番の被害者は、真山だ。
「真山さんの家に明日連れてってくれるか?」
「あぁ」
真山には一週間ほど休暇を与えたそうだ。だいぶ真山は渋ったようだが、ボス命令で仕方なく呑んだそう。
(もしかしたら真山さんは……)
明日、真山に会ったら確かめてみようと秘かに思い、佑月は愛する男の腕の中で、三週間ぶりにぐっすりと眠る事が出来た。
翌日、午前中から須藤と二人で佑月は真山のマンションへと訪れていた。
「本っ当に、申し訳ございませんでした」
「すまなかった」
佑月は深く腰を折り、須藤は軽く頭を下げる。ボスが頭を下げた事に、真山は珍しく激しい動揺を見せていた。
「お、お二人とも、おやめ下さい。謝って頂くこと事など何一つございませんのに!」
それから佑月と真山の間で暫く謝罪合戦となった。埒が明かなくなり、須藤が間に入ってようやく収まったが、まだまだ二人の中では謝り足りないくらいだ。
「でしたらお願いがございます」
「はい! 何でも仰ってください」
真山の願いなら何でも聞くと佑月は意気込む。
「では申し上げます。ボスから一週間のお休みを頂いていますが、明日から通常勤務へと戻して頂きたいです。仕事をしていないと、どうも落ち着かないのです」
やっぱりそうだと佑月は思った。真山の仕事ぶりからすれば、他人に任すことや、ボスの傍にいられないことの方が苦痛なのだと。
「仁、いいよね?」
「……分かった。真山がそれでいいなら」
「ありがとうございます!」
真山はここ一番に輝かしい笑顔を見せてくれた。
「真山さんって本当に良い人過ぎる」
「そうだな。真山がいないと回らない仕事が多いから、正直助かる」
そう言いながらも、須藤にとって真山は仕事の面だけでなく、メンタル面でもお互いが支え合う関係になっている。大事な部下であり、そして盟友でもあるのかもしれない。
「次は陸斗と海斗、そして花ちゃんに報告とお礼を兼ねて、このまま出勤してくる」
「あぁ」
真山のマンションの駐車場で須藤の車に乗り込むと、自然と二人の距離が近づき、唇が重なり合う。少しずつ熱がこもり、しばらくお互いに時間を忘れて貪りあった。
佑月のせいで、とんでもない事に巻き込んでしまった二人。そして【J.O.A.T】のメンバー。
皆が助け合える関係に恵まれた事に、佑月は皆に深く感謝した。
「今夜は思う存分に抱きたいが、いいか?」
唇が離れ、目線を合わすのが難しい程の近距離で問われる。今の佑月はキスの余韻で意識も身体も蕩け、須藤のことで頭がいっぱいだった。
無意識に頷いていた──。
【fin】
ちょっとした《続き》をブログに乗せます。
気になった方は是非、今夜のブログをお読み下さい。
(o_ _)o...♪*゚
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