2 / 8

第2話

朝になり、二人は川で魚を取りながら、遊んでいると… そこへ、馬に乗った一団が通りかかる。 「止めよ」 その声に一団は進行をやめる。 「……あの童達を連れて参れ」 一団の真ん中で白い馬に乗った男が、一之介とたけ丸を見てそう命令する。 「ははっ」 お付きの者が腰をかがめ、返事をし素早く三人ほどが動く。 「おい、こちらへ来い」 「な、なんだよお前ら」 「何?!」 突然、二人を川から引きずり出し、抵抗する二人を力ずくで命令した男の元へ… 後ろから押さえつけられ座らされる。 「ほほぅ、愛いのう…」 男は水遊びをしていて、濡れたたけ丸の頬を両手で撫でる。 「っ…いやだ」 気持ち悪くて嫌がるたけ丸。 「やめろッ!」 一之介もカッとなり怒鳴るが…次の瞬間… バシッ! 「ッう!」 背中を木刀で殴られる。 「一之介ッ!!」 驚くたけ丸だが、すぐお付きの者が怒鳴りつける。 「無礼者!我が殿に何という口の聞き方だ」 「まあ、よい、そちらは捨て置け、ワシはこれを連れて帰る」 たけ丸の顎を持ち、自分の方へ向かせながらそんなことを言う。 「殿、またご冗談を、こんな見すぼらしい孤児を…」 「そうか?愛いではないか、身なり整えば逸材じゃぞ」 「え?」 不安そうにしているたけ丸に… 「お前はワシの家来になるのじゃ、小姓となりワシのもとに来るがよい」 「えっ…!」 殿様は、たけ丸の唇へ接吻をする。 「ッたけ丸!」 一之介は驚いて声を出すが、かき消すように家来達が殿様を止める。 「殿、穢れますぞ!おやめくだされ」 「そうですぞ!まだ素性の知れた者ならいざ知らず、このような稚児を…」 「もう決めたのじゃ、お主、名はなんと言う」 「…たけ丸」 「たけ丸のう、ならば、おたけと呼ぼうかのう」 「…っ、あ、いやだ」 殿様は無理やり、たけ丸を馬に乗せる。 「眺めがよかろう、さ、戻ろうか」 「嫌、一之介ッ」 「ッ、待て!たけ丸ッ行くな!!」 「黙れ下郎が!」 家来達は暴れる一之介を棒で殴りつけている。 「ッくっ」 多勢に無勢、たけ丸を追うことすらままならない。 「一之介ッ」 「大人しく付いて来んと、あの小僧が死ぬことになるぞ」 耳元でそう脅される。 「ッ…」 「ワシのところへくれば安泰じゃ、心配することはない」 「…一之介を助けて」 「大丈夫じゃ、もう良い戻るのじゃ」 「ははっ」 殿様は暴行をやめさせ、一之介を捨て置いて一行は再び歩み始める。 「ッ、たけ丸ッ!必ず、必ず助けに行く!たけ丸ッ!」 「っ…一之介、」 たけ丸はそのまま一国の殿様に連れさらわれてしまった…。

ともだちにシェアしよう!