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第3話

「おぉ、おぉ見違えたのう、やはり愛いやつじゃ」 たけ丸は城に着くと、身体を綺麗に洗われ、身なりを整えられ、その夜、殿様の寝間に招かれた。 赤い女物の着物を着せられ、何もわからず不安に苛まれる。 「…殿様、一之介は…」 心配なことを聞いてしまう。 「大丈夫じゃ、安心せい」 たけ丸ににじり寄りながら、不気味な笑顔で近づいて…顔を撫でてくる。 「っ、殿様…」 そのまま着物を肩口からずらして…露わになった胸を撫でてきて… 「や、おやめください」 「おたけよ、お前はワシのものになった、忠義を示さんといかん。なに、悪いようにはせんから…」 「ッ…っ、…殿様、忠義を誓います、だからひとつ頼み事をお聞きください」 「おお、なんじゃ…」 「あの時一緒にいた童、一之介を探して、住まいを、困らぬよう生きていけるようにご支援を…お願い致します」 「おぉおぉ、お安い御用じゃ、ならばワシのいうとおりにするのじゃぞ」 「……はい、殿様」 その言葉を信じ… 震える声で応えて短く頷き、瞳を閉じるたけ丸… その夜、殿様からなされた性行為の全てを受け入れる他、抗う術はなかった。 その頃、一之介は、怪我を負った身体を引きずり、城へとたどり着いた。 ここらの殿様といえばこの城しかない。 「たけ丸に会わせろ!」 門番に詰め寄るが… 「何者だ!失せろ!」 しかし、全く取り合ってもらえず門前払い。 その夜は城の近くの壁に寄りかかって夜を明かす。 朝になり城からの出入りも激しくなる。 その中に、昨日たけ丸を連れ去った人物の家来を見つけた。 なりふり構わず近づいていく。 「おい!たけ丸は?たけ丸を返せ!!」 「あ、こいつ、あの小汚い小僧だ!」 「あぁまた殿の悪い病気がでたらしいな」 「あぁ、しかも遠乗りの最中にだ!あの殿には困ったものだ」 一之介の存在を無視して話続けている。 「おいッ」 割って入っていくと… 「煩いな小僧、よく聞け、あの小僧は殿に気に入られたんだ、昨日のうちにお手つきになっただろうよ、お前とはもう格が違うんだ、あの小僧は殿の寝間まで入れる位、お前は城にも入れない下郎、分かったら帰れ!」 「…たけ丸が…、たけ丸は…幸せなのか?!」 様々なショックが身体を駆け巡るが…それだけ呟いていた。 たけ丸は幸せなのか…。 「当たり前だろう、綺麗な着物を与えられ、広い住居に、お前など口にしたこともないものを毎日食べられるんだ、幸せに決まっているだろう、なぁ?」 「……ッ!」 たけ丸… 一之介はその場を走って後にするしかなかった。

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