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41. 今日からオレの嫁1
「大人なんだから仲良くしろよな」
険悪な雰囲気の2人の間に割って入ったのは、竜弥だった。
小さな子供の手で服の裾を引っ張られて、高虎は困ったように眉尻を下げると渋々僕をおろしてくれた。
竜弥が手を繋いでくる。小さな手だ。
こんなちっちゃい子供の前で、めそめそ泣いちゃったんだ……。
なんだかすごく恥ずかしい。
「竜弥、ごめんね。えと、潤也にも迷惑かけちゃって」
「別に…いいです。ビックリしたけど」
振り返った先で潤也は、視線を交わせる手前でそっと目を逸らした。
「僕、嫌われちゃったかな…?」
しゅんとして肩を落とすと、そろりと首を回し、
「別に、嫌いじゃないし。アンタ、大人のくせに面白いから」
少しだけ赤く染まった顔を見せてくれた。
面白いってのは、ちょっと引っかかるけど。
だけどわざわざ断ってくれたってことは、少しは好きでいてくれてるってこと?
「ふぶきー」
竜弥がクイッと手を引いた。
「春子ねえちゃんと たかにいのとこ行くのか?」
「あ…、うん。そうさせてもらおうかな」
どうせ家では誰も心配していない。
雪光も、詩子ちゃんも。
猫だって、別に懐いているわけじゃない。ご飯の時間になると寄ってきて催促する。それだけだ。僕がいなければ詩子ちゃんが用意してくれる。
誰も、困らない。
あの家に、あのビルに、僕は必要とされていない。
「でもあの2人、ふぶきのこと取り合ってまたケンカするぞ」
「ケンカ…」
する……かな?
勿論僕のことを取り合ってって訳じゃないけれど、僕が居ることが発端になることはあるかもしれない。
高虎は春子さんに確認も取らずに家に来いって言ってくれたわけだし、春子さんは女性だ。
気心の知れた執事ならともかく、僕みたいな下町育ちの男なんかがお邪魔したらきっと余計なストレスを与えてしまうだろう。
「……そうだね」
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