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46. ふぅきといっしょ3

突然、お尻に痛みを感じた。 「いっ!……た、い…」 「ボーっとしてないで、ちゃんと話きけよな」 そりゃいてーだろーよ。オレがたたいたんだよ、と竜弥は不機嫌な声を漏らした。 「ごめん、竜弥。なに?」 「初めての協同作業だな!って言ったんだ」 「協同作業って、お前……」 また誰だ、子供に余計なことを吹き込むのは。 そんな言葉を子供に教えて遊ぶのは、中学生の女の子辺りか。 でも……。確かに、子供の面倒を見る上で、僕は竜弥よりも素人だ。1人じゃ上手くできっこない。 結由花に楽しいお風呂だったって、思って欲しいもんな。 「竜弥、僕小さい子をお風呂に入れたことないから、頼りにしてるからな」 「え?そうなのか…?」 お、…おぉ、どうした、急に自信なさげな顔になって。 「んじゃ、じゅん兄についてきてもらおう」 「潤也に?」 「うん。うちの風呂、友だちんちの風呂よりずっとデッカいんだ。そんで、チビたちは先生たちと入って、オレたちは中学生と入って、高学年は高校生と入んだ。だから、ふぶきと洗いっこしてるときはじゅん兄にゆゆか見てもらおうぜ」 「でも、潤也に迷惑じゃないかな?中学生じゃ勉強も大変だから早くあがりたいだろうし、僕と一緒じゃいやじゃないかな」 「なに言ってんだよ。ふぶきといっしょに風呂に入れるなんて、じゅん兄だってうれしいに決まってんだろ!それに、勉強ならふぶきが見てやればいーじゃん。大人なんだから」 ほんとかな…? 竜弥はまだ子供だから僕が父親みたいで嬉しいのかもしれないけど、男子中学生がおっさんと一緒にお風呂入って……、いやいや、嬉しいとかおかしいだろう。 勉強見てやれって、それだって……。世の中には、中学生の勉強を教えられる大人と、教えられない大人と、二種類の大人が存在するんだぞ、竜弥。 因みに僕は、言うまでもない。後者の人間だ。 小学生の勉強ぐらいなら───……うん、小学生ぐらいまでならいけるとは思うけれど。 いや!中1ぐらいまでいける、きっと! 「じゃあ、一応声掛けてみるか。結由花も、潤也が一緒でいい?」 「うん!じゅんにぃ、ちゅき」 「好きか。うん、なら良かった」 こっちはそれで片付いた。 高虎は………、なんだかぐったりしているみたいだ。 やっぱり残りの四人とも、一緒にお風呂に入るのかな? 女の子なんだから、って気にしてたけど、小学生未満で、男も女も無いよなあ。

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