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54. 男たちの事情2

翌日曜日、青山探偵事務所には、僕を含め四人の男が集まっていた。 ソファーに座っている僕の前に、高虎の姿。 探偵は仕事のデスクに、葵君はその隣に立っている。 2人でコソコソしている、と思うのは、高虎が僕を見張っている、と思うのは、勘違いなのだろうか。 コーラを飲む。 高虎は珍しく、絶えず何かを話している。 僕は向こうの二人の会話が気になって、高虎の話に集中できない。 高虎が、彼らの会話を僕の耳に入れないようにしているようで、余計にあちらが気になってしまう。 今日は、高虎は秘書の仕事は休日だそうだ。 けれど、春子さんは3階の詩子ちゃんの部屋に来ていて、やはり送り迎えはするらしい。 「仲、いいよね」 上を見ながらぽつりと呟く。 「年齢も19から25って、結構離れてるのに」 「ああ、お嬢様方には共通の趣味があるからね」 「そうなんだ。なに?」 「え?」 「だから、共通の趣味って、なに?」 「それは……」 高虎が不意に黙り込む。 言い辛いことでもないだろうに。春子さんに気を使ってるのかな。 「渋谷署に捜査本部を立ち上げて、私が陣頭指揮を取っています」 高虎の声が止んだことで、向こうの会話が耳に届いてくるようになった。 「それでは、一連の事件を連続殺人と?」 「まだ確定は出来ませんが、無関係のものと決めつけるには───」 「風吹、飲み物のおかわりを頂けますか?」 高虎が、空のグラスを掲げていた。 「え?…あ、うん」 今僕たちのいる一条ビルディング。此処もまた、渋谷署の管轄内だ。 殺人事件…?それもまた、連続……? 「何がいい?」 僕が見つけたあの人は…… 「アイスコーヒーをもらえる?」 死なないでいてくれただろうか……? 「うん」 二人の会話から、僕は一人切り離された。

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