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71. 過去へ流れる時間≪加藤万里≫

「すごーい、万里さん、これ美味しい」 「そうか。それはよかった」 「…でも、思ってたのとちょっと違ったかなぁ」 「……そうかい」 「次はもっと美味しいお店に連れて行ってね」 「ああ、探しておくよ」 ♦  ♦  ♦ 「あ!あのバッグかわいい~」 「おお、そうか。じゃあ買ってあげよう」 「今日はこの間のバッグじゃないのかい?」 「ああ、アレね。アタシの手持ちの服と合わないから、使えないの。もっとブラウン系とかぁ?あ、時計も欲しいかも。ダイヤが付いてるやつ」 ♦  ♦  ♦ 「万里さん。……アタシ、もうダメかも。前の恋人がストーカーになっちゃったの。このままじゃ、殺されるかもしれない」 「稀世…。お前がいなくなったら、俺も生きてはいけない」 ♦  ♦  ♦ あの女に言われたから、殺したんだ。 なのにどうしたことだ、あの女は。 「殺してなんて頼んでないわ。お・じ・い・ちゃん」 自分が言ったんじゃないか。 「あの人がいたら、アタシもう生きていけない」 だから、殺したんだ。 「稀世───」 「そうだ。アタシ好きな人、できちゃったの。だからもう、別れましょう」 「そんな…なにを───」 「あらぁ?アナタもアタシにしつこくするの?まだこれから、10年20年は生きたいんじゃないの?」 殺される───!俺もあいつのように、次の男に殺される───!!

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