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25.過去の真実2
目の前が、真っ暗になった。
足場を失って、地に届かずに、何処までも落ちて行く。
堕ちて行く。
「僕の……僕のせいだ……」
チヒロが傷付いたのは、チヒロが泣いたのは、やっぱり全部、僕のせいなんだ───!!
「っ……──!……──っ!」
僕と出逢わなければ、チヒロは……僕さえ居なければ、チヒロは───
「───風吹っ!!」
バシン───と……
鋭い音が響いた。
そこに、硬い床があった。
───床?
床に体を横たえている。
どうして───?
目を閉じると、瞼に押し出された雫が零れ落ちていった。
ふわりと、体を包まれる。
なに……?
あったかい……
くる…しい………
「……すまない。君を叩いた」
たた…いた……?
身体が苦しさから逃れて、目を開く。
「彼女の事となると君は、すぐに我を失ってしまう」
───色が、
「どれだけ私に嫉妬させれば、気が済むのだろうな…」
世界が鮮やかに───
「ゆき…みつ……?」
色が、戻っていく────
雪光が、僕の顔を覗き込んでいた。
肩を掴む手、その腕に強く掴まる。
「っ…雪光っ、僕のせいだ!また僕のせいで、チヒロをっ…!!」
「君のせいではないだろう」
「違うよ!僕がいたから…っ!」
「彼女は、君を恨んでいたか?」
恨んでない!チヒロは、僕のせいにする様な女じゃない!
だけど、それでも、僕がいたから…!
「悪いのは、そのクモジと言う男だ」
「だけど、僕が居なかったら!」
「それでは君は、私が悪いと思うか?」
「え……?」
パシン───と、両手で頬を挟まれた。
「私は探偵だ。気付かぬ間に、何者かの恨みを買っている可能性がある。その相手が君を傷付けたとして、悪いのは私だと、君は思うだろうか?」
「そんなの、雪光は悪くないだろ!」
「ならば、君も悪くはない。悪いのはその男と、ここに居るこの男だ」
顎で示された先を見やると、黒羽が申し訳なさそうな顔をして立ち尽くしていた。
視線が交わると、両手を合わせてゴメンと頭を下げる。
……なんで、ごめん…?
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