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お仕置きはパーティーの後で3

「ピンクのロゼもあるが、正月にはそれを飲むかい?」 抱き寄せる腕に逆らうこと無く寄り掛かりながら、雪光でもピンクなんて言葉を口にするんだな、なんてボーッとしてきた頭で思う。 雪光がピンク、……なんか、可愛いな。 「……ふへっ」 「……なんだ、君は突然。妙な笑い方をして」 「いや。そんなことより、正月って言ったらお屠蘇だろ。僕がお節作るから、お前は良い日本酒用意しろよ。そうだ、明日お正月用に買い物行くか?」 少し体を離して覗き込めば、雪光は眉を僅かにピクリと動かした。 何か気に触ることを言ってしまったようだ。 「明日は一日中家で二人きりではなかったのか?」 ああ…、今日出掛けるために、そんな約束をしていたな。 「そんなに僕と二人きりがいいのか?」 逸らされた顔、口元は真一文字。 尖らせていれば、拗ねているんだと気付きようもあるものを。 そんな顔じゃ、僕以外の誰も、お前の気持ちに気付けないぞ。 「……それじゃ、買物は明後日な。明日は、ずっと二人でいよう」 機嫌取りに、拗ねてる頬に唇を押し当てれば、 「またその程度で誤魔化そうとして」 ボヤくその唇が、緩んで柔い空気を吐き出した。 「だってお前、こうすれば大方誤魔化されてくれるじゃん」 ───僕は多分、度数の高いアルコールに酔って、気が大きくなってしまっていたんだろう。 でなければ、そんな事、思っても口に出すことはなかった筈なのに。 「今夜の君の唇は、危うい程に滑らかだ」 フッと小さく笑った雪光に、顎をツイ、と掬われた。 唇を合わされて、舌先でチロチロとなぞられると、それ以上の刺激を求めてうっすらと開いた隙間から、自ら舌を差し出してしまう。 いつもは性急に僕の舌を求め、絡め合い、熱い視線で焼き殺しに来る雪光なのに…… 「まだお預けだ、風吹」 人差し指でゆっくりと、舌を押し戻された。 そのまま挿し入れられた指を舌で撫でたりちゅぅと吸ったり、口の中が気持ちよくてうっとりとした気分でしゃぶりついていると、 「フッ…、お仕置きが嬉しくて待ち切れないのかい?」 僕の頭を優しく撫でた雪光が、愉しそうに目を細めた。 「……おし…おき…?」 「過ぎた口は身を滅ぼす。いや、君の場合は、身を持て余す…か。私をイカせることが出来るまで、君への刺激はお預けだ」 思わずポカンと見上げてしまったその先で、雪光は矢鱈と艶っぽい笑みを浮かべ、ベルトを外し寛げる。 導かれるようにそこに触れると、無意識に喉がコクリと鳴り…… 殆どされるばかりで自分ではしたことの無い行為───体を倒して、望まれた通り顔を近付ける。

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