208 / 211
お仕置きはパーティーの後で4
チュッ、と小さな音を立て、布の上から唇を押し当てれば、ピクリと動いた雪光は少し身を屈めて、
バシッ───
「イタッ…っ?!」
痛みを感じる強さで僕のお尻を叩いた。
「なっ…!?なにすんだよっ、ゆき…み…つ、さん……?」
文句を言おうと顔を上げた。んだ、けど………
なんだ、お前どうした、その顔!?
怖い……!なんか、怖いわっ!!
「まだお預けだと言っただろう。そんなに私のコレが欲しいのか。まったく君は……、浅ましいと言うか、淫らと言うか」
「ち、ちがっ……だってお前がやれって…!」
「私の命令があれば君は何でもすると言うのか」
「煩いな!じゃあもうやんねーよ!」
「これはお仕置きだと言ったろう?君に、やらないという選択肢は用意されていない」
ジッパーを下ろす指の動きはゆっくりとしていて、けれど徐々に姿を露わにする雪光自身は、余裕ぶった見せ掛けに反して、柔らかい下着の布の形をそのものに変えてしまっている。
浅ましく淫らになってしまったとしたら、自分じゃない。この男の所為だと恨めしく思う。
この男の、僕にも付いている同じモノに蹂躙されることを許す度に、僕の中はこの男で満たされていく。
その充足感を覚えてしまった今、幸福感を知ってしまった僕に、こんな風に見せつけるようにして………
僕にだってもう、拒否するなんて選択肢が残ってる訳……ある筈ないだろうが!
「けれど私は慈悲深い男だからね。君には別の選択肢をあげよう」
どの面下げて、慈悲深い、だ。
愉しそうに光る瞳には、危険な色しか見当たらない。
僕に提示される選択肢は、どんな究極の選択だ?
「さあ、選び給え」
雪光は、ソファー側部に寄りかけるように置かれていた紙袋を取り、僕の目の前で開いてみせた。
その深緑の袋の中には………
ともだちにシェアしよう!