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17.探偵の仕事仲間1

何をしに来たのだろう? 甘いカクテルを飲みながら、隣に座る探偵を伺い見る。 ママの作ったつまみをサカナに、バーボンなんて大人なものを飲んでいやがる。 僕の手の中にはピンク色の液体の入ったカクテルグラス。 確かに酒はあまり強くないから、ウィスキーなど出されても飲み干せる自信はないけれど…。 だからと言ってこれは何の確認もなしにアラサーの男に出すアルコールではないと思う。 「青ちゃん、ホントに久し振りじゃな~い。いつ振りよ~」 「そんなことより、お願いしていた件は?」 「はいはい。これよ」 ママはフゥ──とため息をついて、探偵に一通の封書を渡した。 どうやらカレ…彼女は、探偵の仕事仲間だったらしい。情報屋、というやつか。 「いつもありがとう、ママ。流石に仕事が早い」 探偵が甘く微笑むと、ママは暗がりでも分かるほどに顔を赤く染めた。 「だってぇ、他ならぬ青ちゃんからのお願いだもの~。アタシ、張り切っちゃった」 「ええ。助かりますよ」 探偵がその頬に手を触れさせると、ママは解放されたマリオネットのごとく床に崩れ落ちた。 まるでコントのようだと、その風景を他人ごとに思う。 「それより珍しいわね~。青ちゃんが男の子連れてくるなんて」 「この地を1人で歩くと何かと面倒なもので。男除けですよ」 「そんなの此処だけじゃないじゃな~い。女子にもモテるクセに」 「ええ、お陰様で」 カクテルを飲み干すと、すかさずママが新しいグラスを差し出してくれた。 今度は澄んだ緑色をしている。さくらんぼが乗ってて可愛い。 「これも綺麗~」 お礼を言って受け取ると、ママに頭を撫でられた。 「イイ子ね~、奴隷ちゃんは」 「ちがっ、奴隷じゃないです!風吹です!それに僕、もう28で」 「あら、アタシより20も下じゃない。息子みたいなもんだから、イイ子で充分よぉ」 「へえ、ママは48…」 「ああっ!青ちゃん、聞かなかったことにしてっ!!」

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