47 / 211
46.イワナガヒメ1
※注 意※
以降学校名が出てきますが、実在する大学とは全く関係ありません。悪意もありません。
それでも気分を害される可能性のある方は、この先を読まれませんようお願いします。
お読みになってからの苦情は受け付けかねますので、くれぐれもご自身の判断でお願い致します。
----------
小さな悲鳴、息を飲む音、そして、探偵の低い声。
「これは…予想外だ」
口元に手を当てているから、少しくぐもって聞こえる。
ヒンヤリとした硬い金属が首筋にあてがわれている。
春子さん、詩子ちゃん、それからもう1人、確か千春さん。彼女たちはうろたえた様子でこちらを見ている。
「3人とも、ゆっくり離れて」
声を掛けると喉が動いて、刃先がチクリと刺さった。
「…っ」
女の子たちに気付かれないよう、痛みを堪える。
「風吹…っ!」
高虎が声を上げる。
犯人を刺激してはいけない。思いを込めてその瞳を見つめる。
高虎は小さく頷き、その場に留まった。
───本物のナイフだ。
ひと思いに頸動脈を切り裂かれれば、出血多量で死んでしまうかもしれない。
ナイフを持つ手が震えている。
これが3人もの女性を殺した手なのか?
「春子お嬢様。どうぞこちらへ」
小刻みに揺れる声が、春子さんを呼んだ。
怒りに震えているのか、自分のしでかしている事への恐怖故か。
「だめ、来ちゃ」
なるべく喉が動かないよう声を出す。
彼女は連続予告殺人の犯人だ。来たら殺されてしまう。
「お嬢様がいらっしゃらなければ、この人を殺します」
守らなくちゃ。春子さんを、守らなきゃ……。
でも、どうやって───!?
ともだちにシェアしよう!