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小学生時代①-1

蓮ちゃんはかっこいい。みんなは蓮ちゃんのこと怖いと思ってるけど、ほんとはそんなことなくて、すごく優しいし時々見せてくれる笑顔は直視できないくらいかっこいい。 「おーい、ゆーうちゃん?今日も彼氏の蓮くん待ってるんですかぁ?」 教室の椅子に座ってそんなことを考えていると、いじめっ子たちが僕を囲み、一瞬で僕の逃げ場をなくした。毎日のことだから一種慣れたような部分もあるけど、やっぱり彼らは怖いし、人数的にも実力的にも力で勝てるわけもないから僕はただ肩を竦めて俯くしかない。 「おい、何黙ってんの?俺は質問してんだよ。答えろよ女男。」 そういじめっ子の一人が言うと彼らはゲラゲラと笑う。 「待ってなんかないよ……ていうか、蓮は僕の彼氏なんかじゃないよ……」 「そーだったの?いつも蓮に守ってもらってるか弱い優ちゃんはあいつと付き合ってるのかと思ってたぜ!それともお前のこと守るのにもうんざりして別れちゃったぁー?」 また別の奴がそう言うと、また一斉にぎゃはははと笑い始める。そのうち、2、3人が僕の頭や肩を小突き、物理的な攻撃を始める。 「痛っ……やめて、痛いよ……」 「うるせえなあ。か弱い"優ちゃん"は黙ってろよ。」 そう言って彼らは僕をさらに強く押しこくる。その時、ガラッという音とともに教室の扉が開き、蓮ちゃんが入ってきた。 「おい。お前らのキモい笑い声、廊下まで聞こえてんだよ。どうにかなんねえの?」 「キモいとか言うなよー。こいつのこと遊んでやってただけだって。一人で寂しそうに座ってたからさ。」 いじめっ子の一人が誤魔化すように話す。蓮ちゃんが僕を守るためにこのいじめっ子の一人を軽く伸したのはまだ記憶に新しく、また喧嘩になるの避けようとしているのだろう。しかしこのいじめが毎日のことだというのもあって、蓮ちゃんもそんな下手な言い訳に騙されたりしない。僕はそれが分かっているから、安心して胸をなでおろした。 「うぜえな。馬鹿な言い訳してんじゃねえよ。どうせまた優のこと虐めてたんだろ?おい、優、帰るぞ。」 「う、うん。」 蓮ちゃんは僕のランドセルをぱっと掴んで、反対の手で僕の腕を引いて半ば強引に僕を教室から出した。いじめっ子たちが何か文句を言っているのが聞こえたけど、蓮ちゃんは全部無視して僕を引っ張ってずんずん歩いた。校舎から出ると、蓮ちゃんは僕にランドセルを手渡して、お前さ、と言葉を始めた。

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