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愛とか恋とか衝動とか。4

「おい、吉崎、ちょっと膝貸せ。枕にする上着忘れたから頭直に当たって痛え。だけど今寝ないと午後まじで死ぬ。」 ある日の昼休み、購買で買ったコッペパンをちびちび食べながら携帯をいじっているとだるそうに加賀谷が話しかけてきた。俺は正直大切な息抜きの時間を邪魔された事にムカついたが、本当に眠そうな加賀屋の声に律儀に顔を上げて応えた。 「何でお前はそんなんになってる訳。昨日特に課題とかなかったじゃねえかよ。」 「いやあ、ゲームやってて気が付いたら4時。やばくね?」 俺の隣で加賀谷がへらへらと笑っている。こいつ心底馬鹿だな、と思いため息を吐きながら膝をぽんぽん、と叩いた。 「あざーっす!じゃあ昼休み終わる時起こしてくれよなー。」 「分かってるよ。俺も授業あるしな。......ってか今度ジュースかなんか奢れよ。」 「......う......ん......。」 よほど眠かったらしく横になってすぐなのにもう眠りに落ちかけている加賀谷が曖昧に返事をする。加賀谷が眠りにつくと、俺は相変わらず携帯をいじりながら時間をつぶしていた。 加賀谷はいつもこうやってべたべたしてくる変な奴だ。尻の軽い女みたいに抱き着いてくるし、俺、吉崎大好き♡とか訳分からんことを言ってくる。 「ねえ。(れん)ちゃん。」 ぼーっとSNSを見ていると、優が不機嫌そうに話しかけてくる。 「なんだよ。」 「放課後の昼寝付き合って。その時俺にも膝枕してよね。」 「いきなり何かと思えばそんなことかよ。不機嫌そうにしてるから何か怒ってるのかと思ったよ。」 「......るよ。」 優が小さな声で呟いたが、何を言っているのかはよく聞き取ることができなかった。 「何か言った?」 「ううん。何も。じゃ、よろしくね!」 にこにこと笑いながら優は歩いていった。昼休みの終わりを告げるベルが鳴り、俺はすやすやと幸せそうに眠る加賀谷を起こした。 「おい、起きろよ。授業始まるぞ。」 「......んー......もう少し......」 「む、り!もう予鈴鳴ってるんだけど?しっかりしてくれよ。」 そう言うと、俺は加賀谷の頭を軽く叩いた。 「いって。分かったよ。お前の手硬えんだよ。」 「悪かったな。」 加賀谷は自分の頭をさすりながら起き上がり、俺が悪態をつきながら立ち上がると、どこからか冷たい視線を感じた気がしたが、俺は気のせいだろうと、気にすることなく授業に向かった。

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