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愛とか恋とか衝動とか。3
「蓮、どうした?いきなり呼び出して。みんなの前じゃ何か困るような事なの?」
「いや、さ。大事なことだから静かな場所がいいかな、と思って。」
「大事なこと?何、別れ話?」
明希は平然と、少し呆れたような顔をして言った。彼女が冗談で言っているのでないことは声のトーンで分かった。
「ほら、だってさ、最近蓮あんまり話してくれないし、下手したら目も合わせてくれないじゃん。」
「俺は、明希と別れたい訳じゃないんだよ。ただ、愛とか、好きとかそういうの、俺には難しい。付き合い始めてからずっと考えてきたけど、やっぱよく分かんねえんだよ。」
「ふうん......じゃあ今まで優しかったのも、愛してるって言ってくれたのも、必死に名前を呼んでくれたのも、プレゼントをくれたのも、全部嘘だったって訳?」
予想外に直接的なことを言われ驚いていると、追い打ちをかけるように、ずっと彼氏のフリしてたんだね、と言われた。
「......っ!そんな意味じゃ......本当に大切だと思ってるし、愛なんてこれからだって......」
「もう遅いよ!散々騙してきたんでしょ?今更何をやり直すっていうの?本気じゃないのに付き合うとか、本当最低だね。」
「だからそんなつもりじゃなかったんだって!大事に思ってたのは事実だ!今だって、大切なんだよ!だから自分の思ってる事、正直に言ってるんだ。」
俺は歩き出そうとする明希の腕を必死につかんで言った。ただただ、自分から明希が離れて行ってしまうのが怖かった。恐らく俺は、「彼女」と言うものを持つことで、どこか安心感のようなものを得ていたのだと思う。周囲の雰囲気に流されて、いわゆるリア充であることに価値を見出していたのだろう。
「......ちょっとっ!離してよ!あたしはもうあんたとは一緒にいられない!もう蓮の事信じらんないよ......もうただのクラスメイトに戻ろうよ、ね。バイバイ。」
明希は俺の手から腕を振りほどくと、校舎の中へと足早に去っていった。
放課後の教室に戻ると、優が机に座っていた。
「その様子だと別れちゃった?」
あいつは眉尻を下げて、優しく微笑みながら聞いてくる。
「......ああ。もう俺の事信じらんないってさ。」
「そっか。まあ、愛とか実際難しいよ。でも大丈夫、俺がいるからさ、ダーリン♡」
「ばーか。誰がダーリンだよ。」
そう言って笑うと、優は少し悲しそうな顔をして笑った。
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