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第36話

あの頃とはまたちょっと違う感覚。 ただ金魚の糞のように友達の後ろをついて回っていた学生時代と、似ているようで似ていない。 渋澤が相手なら気を張らなくていいし、余計な気遣いも必要ない。 ついでにマスクとメガネを外した素顔も見られているし、あんなことまでシてしまっている。 きっと根暗で卑屈な曲がった性格も把握済みだろう。 つまり渋澤には隠さなければいけない笹本の内面があまりなく、笹本ばかりをいじる渋澤の難ありな性格を除けば友達にするには丁度いい相手だった。 「ハンバーガーどうです?デカイやつ」 「ファーストフード?」 ハンバーガーか。最近食べていないなと考えているうちに、腹がハンバーガーを迎える体勢を整えてキュルルと鳴った。 笹本が思わず腹に手をやるとそれを見て渋澤がふっと笑った。 また子供扱いか?と笹本がむっとしてマスク下の唇を尖らせる。 「そうですね、高級ファーストフードって言えばしっくりくるかな。パティの挽き肉がかなり粗くて肉!って感じのハンバーガーで、デカいからナイフとフォークで食べるんですよ」 思った以上に腹が空いていたようで、想像しただけで涎がじわっと口の中に湧いた。 「僕それ食べたい。そこにしよう」 「俺もそれ食いたいです。決定ですね」 渋澤がにかっと笑う。 笹本までその笑顔に釣られてしまい思わず口許が緩む。 しかしここで笑い返すのは負けな気がして、慌てて頬の内側をきゅっと噛んで誤魔化した。 目的の店まで徒歩で5分。 店は5階建てのビル、3階にあった。 店へ入ると室内はカントリー調に統一されていて、いかにもデカいハンバーガーが出てきそうな内装だった。 丁度席も空いていて、2人はすぐに案内された。

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