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第38話

「大丈夫。誰も聞いてないです。俺が超イケメンなら聞き耳立てる女性だっているかもしれないけど残念ながら俺イケメンじゃない自覚あるし」 そういう問題か。 どこかモラルに欠ける発言や言動が多いなと今まで度々思わされてきたが、渋澤と自分とではものを考える基準がどうやら違うらしい。 それとは別に笹本の中で引っ掛かりを覚える。 「っていうかそれって僕の容姿が好きなだけってこと?」 「ん?」 渋澤はきょとんとした表情でこちらを見ていた。 ショタ風成人男性が好きと言われた時点でそんな顔になったのはこっちの方だ。 「だって渋澤が僕の顔が可愛いとか外見的なことばかり好きだって言うから。大体会社での所属部署も違うし接点もあまりないだろ。それに僕の私生活だってどうなってるか知らないくせに」 「……それは笹本さんの全てを知ってほしいってことで合ってます?あ、でも笹本さんの仕事に対する真面目な姿勢は好きですよ。って、これは言ったことありましたよね」 「全てをしっ……て……」 ほしいだなんて、そんな風に取られるとは思わなかった。 渋澤は限りなくプラス思考のポジティブシンキングを備えているのだろうか。 「まぁいいや。取り敢えず友達として付き合いましょってことになったんだから、笹本さんもあまり深く考えない方がいいですよ」 「……」 自分が何をどうしたかったのか、笹本はまたしても思考がこんがらがって返す言葉を見失ってしまった。 その後直ぐ「あ、きたきた」と渋澤の声と同時に店員が運んできた特大ハンバーガーが熱々のポテトと一緒に目の前に置かれ、渋澤が「インスタ映え~」と言いながらスマホでカシャカシャ写真を撮り始めた。

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