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第45話

渋澤のマンゴーカクテルも同様に、縦半分にカットされたマンゴーがカクテルグラスいっぱいに乗せられている。 マンゴーは皮を残したまま賽の目の切れ込みが入れられ、外から内側に反らすことで花が咲いたような演出を施されていた。 これでは飲むというより食べるがメイン。 飲むには物足りないけれど、それでもフルーツは美味しそうで食べ応えもありそうだ。 渋澤は食べる前にまたスマホを取りだし「すげぇすげぇ」と繰り返し言いながらカシャカシャと写真撮影をする。 もう何も言うまいと、笹本はメロンにかぶりついた。 果肉は柔らかく、甘くてとてもジューシーだった。 こんなに上等なメロンにアルコールなどなくてもいいと思わせるほど。 夢中でメロンを食べている最中、またしても渋澤のスマホで写真を撮られた。 「渋澤ぁ、ふざけんなよ。さっきから人の写真勝手に撮りやがって」 「まぁまぁ落ち着いて。記念ですよ記念。こんなフルーツもりもりカクテルと一緒に写真撮ったら面白いじゃないですか。ってことで俺のも写真撮ってもらえます?」 仕方ないなと渋澤のスマホを受け取って、マンゴーカクテルを顔の横に添えた悪人顔の写真を撮った。 それから他愛ない話をしながらナッツとスナックをつまみ、レモンやライムのサワーを注文したが、やはりそれらも果実の量がすごくて笑った。 入店してから30分ほど経った頃だろうか。 店内は徐々に混み合い、わいわいがやがやと客の話し声で賑やかになっていた。 混んできたなと笹本が何気なく顔をドアの方へ向けると、丁度ドアが開き男女4人グループが入店した。 スタイルが良ければ顔立ちも整っている、人目を引く華やかな美男美女のグループだった。 その内の1人が人事部の新人、小泉であることに笹本は直ぐ様気が付いた。

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