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第60話

「勝手に僕の好みを決めるなよ。それに僕が今こうしてお前とこうなっているのだってお前が童貞って言葉を連発するから……」 「童貞?笹本さんやっぱり童貞なんですか」 「ちっ、違う!違うから渋澤の言う通りにして証明してるんじゃないか」 「え?あぁ。つまり笹本さんは童貞処女ってことですよね。わかってましたよ最初から。笹本さんが余りに可愛い反応するからちょっとからかっただけで」 「は……!?お前知って……ひどい」 どういうことだ。今まで自己防衛として渋澤の言いなりになってきたことは無駄だったということか。 「すいません。傷つけたのなら謝ります……」 耳元で渋澤が謝罪の言葉を口にした。あまりにその声が沈んでいて本当に反省しているのかもしれないと思った。 笹本の項に渋澤の短い髪がちくちくと当たっている。 もしかして渋澤は後ろで項垂れているのだろうか。 いつもは強気でバカなことばかり言い、自分をおちょくる最悪な後輩渋澤に、ほんの少しだけ同情した。 「……わかればいいよ」 「許してくれます?」 「僕が童貞だからってからかわないなら」 「わかりました。からかいません」 そう言いながら渋澤の手が笹本の腹に回されて、臍の辺りを撫でさする。 言ってることとやってることが滅茶苦茶じゃないか。 「……で、その手は何」 「そういや笹本さんのおっぱい触らなかったなーと思って」 「はーっ!?触らなくていいだろそんなとこっ」 またしても渋澤にエロいことをされてしまうと慌てて渋澤の手を手で押さえ、これ以上の接触を拒んだ。 「ちょっとくらいいいじゃないですか。結構ケチくさいっすよねぇ」 「ケチとかケチじゃないとかそういう問題じゃない!」 バブルバスのぼこぼことした泡に加え、男2人の攻防でばしゃばしゃと水飛沫が飛び散る。

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