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第79話

「僕あまりそういうのやらないし、時々朝起きると夢精して漏らしてることとかあって、溜まるとしなくても勝手に出てくるんだと思ってた。それにする時は適当にDVD借りたりもするけど、声を聞いてるだけでもちゃんと勃つよ。僕が好きなのはインタビュー受けて始まるみたいな……、そうだ、素人ものっていうの?そういうのが結構好きかも。でも普段は殆どしない。これってまずい……?」 渋澤は医者でも何でもない。 むしろ悪徳な偽医者と呼んだ方がしっくりくるだろうと思うのに、アルコールで頭がおかしくなっているせいかそんな渋澤にでも縋りたい気持ちが湧いてきてしまう。 「まずいっすね。しっかり検証した方がいいと思います」 顎に手を当て考える仕草をしながら神妙な面持ちで渋澤が答えた。 それを見て笹本の顔が更に青くなる。 「あの、笹本さん。インタビュー受けてるので始まるのが好きっていうのは、もしかして笹本さん自身がインタビューを受けているような気持ちになるとか、そういうことですか?」 「どうだろう、深く考えたことはないけど」 頬が少し赤くなった小泉に問われ、笹本は首を傾げた。 「じゃあ映像で見るのは、男と女どっちですか?」 「それはもちろん女の人」 「それはどうしてですか?」 「どうして……?気持ちよさそうでいいなって思うから」 笹本が小泉の質問にそう答えた瞬間、渋澤と小泉がぱっと顔を見合わせた。 「じゃ、じゃあっ、笹本さん自身もあんな風に気持ちよくなりたいなって思います?」 「うん」 小泉はどうしてこんなことを聞くのだろう。 出演している女優達は甘い声で喘ぐほど気持ちよさそうに善がっているのだから自己投影したって何らおかしなことはない。 酔っ払った笹本の頭では、自分がズレていることも、どこがズレているのかも気付くことすらできなかった。

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