86 / 206

第86話

─ぼ、勃起してたーーー!! 笹本はぎょっとして、山の頂をしばらく見詰めた。 自分でも呆れてしまう。 あれだけ反応しないと自分自身にちかった筈なのに、何て節操なしな息子なんだろう。 笹本は羞恥で耳まで真っ赤しながらにどうやって言い訳すればいいのか思考をフル回転させた。 「どっちも何もっ、普通だろこんなの!普通のAV見て勃起したんだからむしろ正常だと思うけどっ」 「はいはい」 笹本を宥めるように渋澤が笹本の頭をぽんぽんと撫でる。 「また子供扱いっ!!」 「ごめんごめん」 ─くっそー!! 「笹本さんいじめてすみません。もうちょっと我慢してくださいね」 反対側では小泉が笹本のがちがちに固まった手を取り、そこへちゅっとキスをした。 「……っ!!」 ─王子か!!くそっ、カッコいい……!けど……、けど……。 混乱を極めた笹本の目にうっすらと涙が滲む。 おでんを食べて酒を飲みながら年代の近い者同士親睦を深めるつもりだったのが、いつの間にかラブホでエロビ鑑賞会に様変わりしたのは何故。 こんな風に惨めな姿を晒さなくちゃいけなかったのは何故。 色んな思いが込み上げて、勃起の治まらない股間を見詰め、滲んだ涙が粒となってぽろりと腿の上に落ちた。 「笹本さん、泣くのはまだ早いっすよ。ここからが本番です。これ見て萎えなきゃ、男もいけるって認めてくださいね」 「……は?」 笹本が泣こうが喚こうが渋澤はあまり動じない。そう、こいつはそういう奴だった。 泣いてる場合じゃないぞと笹本の本能が警告し、笹本は渋澤の動向を警戒する。 しかし両脇から腕を押さえつけられている体勢に変わりはなく、笹本はまた泣きたくなった。 その時不意に小泉が空いてる手で笹本の盛り上がりをすっと撫でた。 「……っ」 「笹本さんのここ窮屈そうですけど、前開いてもいいですか?」

ともだちにシェアしよう!