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第99話
駅で買った駅弁を新幹線の中で食べ、食べ終える頃には目的の駅はもう目の前だった。
笹本達は改札を抜けて駅から直結する駅ビルを通って外へ出ることにした。
海の近くの観光地ということもあり魚介の干物や、温泉地の象徴的土産物であるまんじゅうに目がいった。
「女子の好きそうなもんもいっぱい売ってますね。帰りはここで自由解散にするといいかも」
渋澤は既にリサーチモードに突入してる模様だが、渋澤の言うことには同意できる。
確かに現地集合、現地解散は気が楽だ。
好きでもない上司のご機嫌とりをしながら、行き帰りにまで気を使うなんて自分は嫌だ。
「洋菓子とか、可愛いキーホルダーとか、結構ありますね。あ、浴衣とか甚平もありますよ!笹本さん浴衣似合いそう!」
「いや僕は着ないからね」
小泉はにこにこと子供のように楽しそうにはしゃいでいる。
大型犬が尻尾を振って喜んでいるみたいで思わず笑ってしまいそうだ。
駅ビルを見回しながら表通りへと出て、大きな通り沿いにあるビジネスホテルへと向かう。
その後ホテルに一旦荷物を置いて、研修所周辺へ繰り出そうということになった。
研修所へはタクシーを使って移動した。
研修所は大きな通りから一本外れ、山道へと差し掛かる途中の自然豊かな場所にあった。
「こんなところにあるんですかー、研修所」
「渋澤は来たことないの?新人研修とかで」
「俺、新卒採用じゃないんで」
「え、お前中途入社だったの?知らなかった」
「俺は中途ですけど、入社した時から気になってましたよ。俺好みの可愛い感じの人がいるなぁって」
「こんなところまで来てそういうのやめろよ」
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