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第101話
その結果、大人数で宿泊できて、夜は宴会を開くための大広間があり、更に予算に応じてプラン変更を融通してくれる宿は駅周辺に3軒あることがわかった。
それだけならばネットで検索すれば済む話しだが、実際に訪れた店の雰囲気は肌で感じなければわからないことだ。
そう考えれば、下見旅行は意義あるものだったと思える。
笹本は下見の最後となった旅館の外観をスマホで写真に収め、くるりと振り返り渋澤と小泉に顔を向けた。
「2人ともありがとうな」
笹本が微笑むと、渋澤と小泉も笑って応えた。
時刻はもう夕方を過ぎ、一日中歩き回った笹本の足は棒のようで、本当はすぐにでもホテルに戻ってベッドに寝転んでしまいたい気分だったが、ここまで付き合ってくれた後輩2人に何かお礼がしたかった。
「夕飯どうする?ここまで付き合ってくれたお礼に奢るけど」
「そんなっ。俺達が勝手についてきただけですし、奢ってもらうなんてできないです」
「そうだな~。どちらかというと小泉が勝手についてきたんだから小泉が笹本さんに奢ればいいんじゃないか」
「渋澤っ。すぐそういうこと言って小泉苛めるのやめろよな」
笹本が渋澤を窘めるが渋澤はつーんと顔を背け、馬耳東風に聞き流すふりをする。
一方小泉もむっとした表情を隠すことなく、渋澤を睨みつけていた。
この2人はどうしていつもこうなんだと笹本の口からは盛大な溜息が漏れる。
「2人とも疲れてるだろ。店はやめてコンビニで酒買ってルームサービスで夜食は何か頼むことにしよう、ね」
どう見ても一緒に店に入り和気あいあいと食事ができる雰囲気じゃない。
笹本の提案に2人は「そうですね」と素っ気ない返事を返し、コンビニで各々好きなものを買いホテルの部屋へと戻っていった。
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