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第107話
頭に浮かぶのは、なんで?どうして?という疑問ばかり。
はっきり言って渋澤の悪人顔が世間一般的にモテるとも思えないし、人柄だって良いとは言い難い。
そんな渋澤と最早人種違いとさえ思えるイケメンの小泉が知り合い?
この写真にたまたま渋澤が写っているということも考えられるけれど、こんなものを持ち歩くくらいだ、2人の間には何か人には話せないような関係があるのか?
「これなんてどうですか。コンビニ限定ビタミンCたっぷりのチューハイレモン。アルコール9パー。酔っぱらうけど疲れ取れますよ」
「……うん、ありがと」
笹本は渋澤が袋から出した缶チューハイを、ぼうっとしながら受け取った。
渋澤は上機嫌でにこにこしている。悪人顔が柔らかく緩んで、こうして見るとそこまで悪い人間に見えないこともない。
自分には散々エロいことも仕掛けてきたけど真面目なところもあるし根が悪だということだってない。
性格に難はあるけど正直で分かりやすいし優しいところだってある。
自分を真っ直ぐに見詰めて、ばかみたいに何度も好きだと言ってきた。
渋澤はきっとこれまで同じように真っ直ぐな愛情を、自分以外の誰かに注いできたのだと思う。
恋愛経験がない自分とは違う……。
─もしかして小泉は渋澤のことが好き……だったりして……。
2人とも同性との恋愛が可能だし。
それとも接点はわからないが過去に付き合っていたとか?
渋澤は目立たないタイプだがビジュアルはそこそこ。小泉と並べば見劣りするかもしれないが、自分よりはお似合いだ。
今は自分のような冴えない男にちょっかいを出している2人だけれど、もし過去に関係があったのならば寄りを戻したいと実は思っているのかも……。
疲れた頭が急速回転して勝手にどんどん想像する。
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