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第108話

だとしたら、自分は邪魔者なのか? 「笹本さん?」 「……」 「笹本さん、おーい」 気づけば渋澤が笹本の目の前で手を振って見せている。 「……っ、なに」 「なにって。それはこっちの台詞ですよ。ぼーっとしてましたけど、大丈夫ですか」 「何でもないよ。このまま飲んだら酔って寝ちゃいそうだから先にシャワー借りるね」 「はい……?」 訝しげな顔でこっちを見る渋澤にそう告げて、笹本はシャワー室へ向かった。 謎の動悸は程なくして治まったが、シャワーを浴びている最中も写真のことや渋澤と小泉の関係についてあれこれと詮索めいた想像が止められなかった。 ─仮に小泉が渋澤のことを好きだとして、僕に一体何が出来るんだろう。 あの写真を返して2人の関係を問うこともできるけれど、聞いたところで……。 応援してあげるべきなんだろうが果たしてそんな気分になれるのだろうか。 自分には事の成り行きを見守ることしかきっと出来ない。 何故だかわからないが、笹本は確実にショックを受けていた。 「はー……。多分2人が男同士だから素直に祝ってやれないのかもな……」 どよんと暗い気持ちを胸に抱えたままシャワーを止めた。 シャワー室の扉を開けて、備え付けのバスタオルで体を包んだところで気がついた。 「あ。下着忘れた」 大事なとこだけ隠せばいいかと、体を拭いたバスタオルをそのまま腰に巻き、スリッパを履いた。 シャワー室を出ると既に小泉が買い出しから戻っていた。 「あ、おかえり小泉」 笹本は写真のことを気取られまいと普通に振る舞うことにした。 貧相な上半身を剝き出しにしてスリッパをペタペタ言わせながら冷蔵庫へ水を取りに向かうと、小泉は驚いた顔でコンビニの袋をテーブルに置き、笹本が着ていたパーカーを手に取りこちらへやってくる。

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