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第122話
小泉がずいっと前に写真を突き出してみせる。
笹本と渋澤はそれを食い入るように凝視した。
「え、まじで?これ、お前?」
「か……顔が違う……」
写真の渋澤の隣、小泉が自分だと主張する写真の中の小泉は、確かに高身長でスタイルが良く、顔から下だけを見れば、あぁ小泉ねと納得できるかもしれない。
だが顔が、目の前にいる小泉とは違う。
写真の小泉は取り分けブサイクでもないが、どこかぼんやりとした顔立ちをしていた。
言い換えれば、モブ顔である。
「俺、整形したんです」
「えっ、そうなの!?」
笹本の頭が真っ白になった。
これまで近くで見てどきどきして、顔が熱くなって。
憧れの対象であった小泉の顔が整形手術で得たものだと知り、笹本はもう何も考えられなかった。
「道理で。サークルに小泉っていたような気がしたけどお前とは似ても似つかないしって思ってたから、この写真と整形したお前がイコールで納得したわ」
「渋澤さんはあまり驚かないんですね」
「俺、お前に興味ないからな。目の前で死なれたら後味悪くて嫌だけど、整形しようが何しようがお前の人生なんだから自由だろ」
「鈴木さんは渋澤さんのそういうところに惹かれたんでしょうか」
「……何が言いたいんだよ」
「俺の好きだった鈴木さんと寝ましたよね」
「ばっ、お前、笹本さんの前でそんな話すんなよ!」
「やめた方がいいですか?」
小泉は淡々とした口調で笹本に伺い立てる。
小泉が且つて好きだった鈴木という人と渋澤が寝たということは、2人がそういう関係だったのだろうと推測できる。
渋澤はこの話を掘り下げることに気が乗らないようだが、話を先に進めないことには小泉の心の声を知ることはできないだろう。
それに2人の過去を咎める権利もない。
この二人に何があったのか、笹本自身も知りたかった。
「僕は構わない」
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