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第126話
これが全てならばこれまでの小泉の言動が理解できる。
渋澤に張り合いはするが、渋澤のように剝き出しの恋愛感情をこれまで笹本にぶつけてくることがなかったのはその為だったのかと。
だが、笹本のことをまるで生きたおもちゃとして扱っていたのが、いつしかそれは守りたい大切なものへと変化したらしい。
笹本はどう応えればよいのかわからず、真っ赤になって決死の告白をした小泉をじっと見つめ続けた。
あの写真のことも、小泉自身の気持ちも、全てを洗いざらい吐き出すのは相当勇気がいったことだろう。
だから責める気にはなれないし、甘いかもしれないが突き放すこともできないと思ってしまう。
ただ、小泉が笹本達に付き纏ってきた理由がやっとわかって納得した半面、こんな形で告白されたことに戸惑いを隠せなかった。
「こんな俺ですが、渋澤さんより笹本さんを大切にして幸せにする自信があります……!」
「その……正直に色々話してくれてありがとう。写真のこと、整形のこと、驚くことばかりで……。ここまで話すのはとても勇気がいったと思う。だから僕も、今思ってること正直に話すよ。ほんとは話すつもりなかったんだけど」
目の前で小泉にここまで暴露させて、自分だけだんまりでは、あまりにも小泉が不憫に思える。
「何ですか」
「俺も気になる。何ですか笹本さん」
渋澤と小泉がパッと笹本の方に 顔を向け、耳を立てる。
そんな2人に見詰められ、これから自分が言おうとしていることを想像するだけで、恥ずかしさが込み上げてきた。
─素面じゃとても、話せない!
笹本はテーブルに残っていた飲みかけたままのビールをぐびぐびと煽った。
「ぷはっ……。2人とも知ってのとおり、僕は自分の気持ち一つ、酒の力でも借りなければまともに言えない人間です。自分でも情けないと思うよ、はは。……そしてこんな僕を慕ってくれる2人には、日頃から感謝してます」
ここまで言って、笹本が大きく息を吐く。
ここからが本題だ。
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