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第129話
その後、日付が変わるまで3人で飲み明かした。
同じ大学、同じサークルで一緒だった2人は思い出話に花が咲き、いくら話しても話題は尽きないようだった。
渋澤がまだ趣味でフットサルを続けていることを話すと、小泉はぱっと目を輝かせ、自分も仲間に加えてほしいと頼み込んだ。
別にいいけどとぶっきらぼうに渋澤が答えると、小泉が嬉しそうにありがとうございますと言う。
何とも微笑ましい光景だろう。
渋澤には写真のことを気にしている様子は見られない。
けれど度々渋澤が写真のことを蒸し返しては気持ち悪いと連発し、その度小泉が渋澤は下衆だと言い返していたのには苦笑いが漏れた。
「よかった……」
渋澤がトイレと言って立ち上がりいなくなった瞬間、ほっとしたように小泉が言った。
笹本が小泉に顔を向けると頬を赤らめて笹本ににこっと微笑む。
「まさか俺、2人の目の前であの写真を落とすなんて思ってもみなくて。誰にもみせるつもりなんかなかったし、完全な事故です。俺にとっては大事故ですよ。もうほんと、パニックでした。……あの写真、少し前からもう持ち歩くのやめなくちゃって思ってたんです。俺の好きな人は鈴木さんじゃなく笹本さんだし、恨みの対象だった渋澤さんは今やライバル。あんな写真は持ち歩く意味がないってわかってたんですけど……。でもよかった。本当の俺を知っても、2人は引かずに聞いてくれた」
「いや、引いた。大いに引いた。今もお前のことは気持ち悪いと思ってる」
「し、渋澤!」
どこから聞いていたのかトイレから戻ってきた渋澤が横から口を挟む。
小泉はこれだけ恥を忍んで全てを告白し、漸くその緊張感から解放されたのだ。
これ以上は責めるのも貶すのも小泉が気の毒で、笹本としては見過ごせない。
「小泉はもう全部正直に話したんだ。あんまり気持ち悪いって言うなよ」
「可哀想だろ」と笹本が続けた瞬間、スツールに腰かけていた小泉の体がぐらりと傾いだ。
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