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第157話

「実は社員旅行の件なんですけど、各所属部門、部署で宿泊施設が違うじゃないですか。それで俺達はもちろん管理部門という枠で一括りにされ、笹本さんも渋澤さんも俺も3人とも同じ宿に泊まるんです。そこで夜の宴会の時に何か出し物やってくれって部長に言われて……」 「出し物って余興的な?」 「はい、そうです」 「このメンバーでか?」 「まぁ……そうなりますね」 なんとなく小泉の返事は歯切れが悪い。 「本当に?僕も?誰になんて頼まれたのかちゃんと教えて?」 笹本は首を捻る。生まれてこの方、そういった目立つ行事ごとで表に立たされたことなど一度もなかった。 だからなぜ自分まで?と不思議でしょうがない。 最近小泉ともよくつるんでいるので悪目立ちしてしまっているのだろうか。 「あ、いや……はっきり笹本さんと渋澤さんの名前を出されたわけじゃないんです」 「は?」 渋澤の「は?」がトゲトゲし過ぎて小泉が少し引いたのが分かった。 しかしここでちゃんと話を聞いておかなければ当日急に何かろくでもない出し物をやれと言われても非常に困る。 「僕怒ってないし渋澤もちゃんと聞くから言って大丈夫だよ」 「笹本さん~~~っ」 小泉が急にがばっと笹本に抱き着き情けない声を上げた。 「おい!こら!笹本さんから離れろ!」 「いや、大丈夫だよ。渋澤も落ち着いて」 これが元モブである小泉の真の姿。元々小心者であろうことを考えると多少同情の余地もあるというか、不器用な生き方をしてきたのだろうと窺える。 笹本が小泉の背中をポンポンとリズミカルに叩くと、小泉は大きな溜息を吐いて笹本から体を離した。

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