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第158話

「実は人事部長から頼まれたんですが、俺と経理の若いやつと、あと総務の若いやつで盛り上がりそうなアレをやってくれって言われたので間違いなく渋澤さんと笹本さんのことだと思うんです」 「あー?なんでそうなる。若いのってだけで俺と笹本さんって決めつけんじゃねぇよ。女子社員だっているだろうが。てかアレってなんだアレって」 「女性には絶対できないんですよ。だってやれって言われたのが今流行りのヒロシ100パーセントの芸なんですから」 「えー……」 思わず笹本の口から思い切り不満の声が漏れた。 ヒロシ100パーセントというのは今大ブレイク中のお笑い芸人で、お盆一つで股間を隠し、そのお盆を裏返したり表に返したり、素早くしゃがんで歩いてみたりと多彩な動きを取り入れながらも一切股間を見せずに行うネタを演じる芸人だ。 小泉は人事部長からそれをやれと言われたらしい。 「お前1人でやれよ」 渋澤もまた顔を顰め人殺しでもしそうな表情で、やりたくないをアピールしている。 「や、やですよぉ~!俺1人でなんて絶対できません!」 そんな芸を強要するなどセクハラかパワハラか?というところだが、小泉にそんなことを咎める勇気はないだろう。 「じゃあ他の芸にしてもらうとか……?」 「それは俺も提案したんですけど却下されて。ヒロシ100パーセントだったら、女性社員の旅行参加率がぐんと上がるから頼むよって言われて……。俺1人でやるのは嫌ですって言ったら、じゃあ経理と総務の若いのもって話に。だからお2人も明日あたり直接上司の方から話があるかと……」 「……」 「……」 話の流れを聞いて笹本も渋澤も黙り込んでしまった。 やらなきゃならない流れを感じ取ってしまったからだ。
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