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第163話

そんな笹本を見て渋澤が「大丈夫です」と言った。 「もうあんなことしないから、安心してください」 渋澤の言葉で小泉も空気を読んだのか「絶対しません」と続けて口にした。 そこまで真面目に宣言されると、信じるしかなくなってしまう。 2人は真剣にお盆芸を完成させようとしているのだから自分も本気で挑まなくてはと、笹本は余計な雑念を払拭するように頭を横に振った。 「そうだ。いいもの買ったのでお2人にもぜひ」 「ん?」 小泉が「サイズが合えばいいんですけど」と言いながらカバンをごそごそと漁り、不透明なショップ袋の中から肌色の布地を取り出した。 「こっちは渋澤さん、はい、どうぞ。で、こっちのSサイズが笹本さん」 「……ビキニ?ん?Tバック?」 「うわぁ。すご……ちっちゃい」 渋澤から手渡されたのは布面積の小さなベージュのTバックパンツだった。もちろん男性物。これを穿けば間違いなく際どい演出ができることだろう。 しかしこれを穿くのは抵抗がある。 こんなデザインの下着を笹本は身に着けたことがない。 「まぁこれなら見えても問題ないし盛り上がるかもな」 「ですよね!最初はラクダ色のブリーフとか考えたんですけど、おじいちゃん感が半端じゃなくてこれはちょっとないなぁって。こっちの」 「こんなの穿いて横からはみ出ないかな」 「笹本さんなら平気だと思うけど、逆にはみ出てるとこ見てぇな」 「同感です。って違う違う、そういう目的で買ったわけじゃないですから笹本さん安心してください。心配ならその上からストッキングを着用するというのはどうですか」 「そうだな。そうすりゃズレないしそのまま肌色もキープできる。局部はうまく隠せるしいいかもな」 「……」 聞き捨てならないことが聞こえてきたのは気のせいだろうか。 それにしてもこんな際どい下着を身に着けて、万が一、大事なところが見えてしまったら通報されかねない。 キレイに身に着ける練習もしなくてはならないだろうか。 悶々と考え込む笹本を余所に、渋澤と小泉はいつの間にか衣服を脱いで下着を身に着けていた。

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