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第164話

「わぁ……」 笹本の口から思わず感嘆の溜息が漏れる。 バランス良く美しく均整のとれた筋肉質な身体に小泉の甘いマスク。 そこへ手で目を覆って指の隙間から思わず覗きたくなるような、もっこりしたベージュの下着。 まるで高級ブランド店のショーウィンドウを飾るマネキンモデルのよう。 ─ていうか、小泉のデカイなおい……。 これを女子社員が見たら黄色い悲鳴どころが失神しかねないのではないだろうか。 同性である男の自分から見ても憧憬の眼差しで見てしまうのだから。 笹本は小泉の身体を不躾にも隅から隅まで眺め倒し、次にその隣にいる渋澤へと移動する。 渋澤は細いのだが、全身についた筋肉は自分とは全く違う男らしさで目を奪われた。 小泉の隣に並べば見劣りしてしまうけれど、自分を優しく抱きしめた渋澤の腕と体温を思い出す。 その途端、少しだけぞくぞくとした妙な感覚に襲われて、笹本は自分の腕で身体を抱いた。 しかしそんなおかしな感情に浸っている場合ではなかった。 「ん?笹本さんも着替えるんですよ」 呆けたように見ているだけの笹本に渋澤が突っ込んだ。 「あ、う、うん」 まさか自分だけやらないという選択はできる筈もなく、笹本は仕方なしにポロシャツのボタンを外し始めた。 それにしたって自分みたいなちんちくりんで腹筋の一つも見えない自分がこんな2人と並んで裸芸をするのは注目を浴びるだろうし、例えるならば公開処刑に近いものがある。 かといって今筋トレを始めたところで目に見えた結果が出せる気もしない。 ポロシャツを脱ごうとしていた笹本の手が止まった。 「あのさ……」 ぼそっと笹本の発した声に渋澤と小泉の2人が耳を傾ける。 「僕、2人の隣に並ぶの……物凄く恥ずかしくていやなんだけど」 笹本は2人の鍛えたキレイな身体の隣に立つことが恥ずかしいと正直に告白した。

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