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第199話
こんなに積極的に渋澤を求めるのは初めてだった。
今ならば、したことのない恥ずかしい行為にも及べる。
そんな気がした。
笹本は唇を離すと渋澤のシャツのボタンに手をかけた。
片手で手際よくプツ、プツと格好いいボタンの外し方をしたかったけれど、笹本の指先はそれほど器用じゃない。
渋澤の上でシャツのボタンをもたもたと外す。
客観的に見たらちょっとマヌケかもしれない。
だが渋澤の目は、うっとりと笹本を見詰め視線を離さない。
「不器用っすね」
「うん……異論はない」
「一生懸命でかわいいです」
「っ……」
可愛いと言われる度に下肢が疼く。
言葉フェチとかそんな性癖は持ち合わせていない筈だし、むしろ可愛いなんてのは男に対する褒め言葉じゃないと思っていたくらいだ。
なのに、そう言われる度、今の自分は心も体もきゅんきゅんしている。
「シャツのボタン外し終わったら、そのままベルトも緩めてください」
「……」
渋澤が何を要求しようとしているのかがわかった。
言われるまでもなく、笹本だってそうするつもりだったのだから、素直にこくりと頷いた。
すると渋澤に頭を優しく撫でられる。
居ても立ってもいられない、堪らない気持ちが溢れてくる。
早く渋澤とひとつになりたい。
こんなことを思う日が来ようとは。
笹本は先刻まで冷静にDVDを見ていたとは思えない盛りようだった。
渋澤の熱が布の下でスタンバイしている。
盛り上がった下肢を見ればすぐにわかり、こんなにも自分に興奮し、欲情してくれているのかと嬉しくすら思う。
笹本の緊張した手指が拙い動作で渋澤のベルトを外しボトムスの留め具をスライドさせて外す。
その下の渋澤の熱がファスナーを押し上げて窮屈だと主張していた。
「え、と……渋澤の、出す、ね」
「はい」
渋澤の返事が心なしか嬉しそうに聞こえ、今更ながら本当に自分でいいのだと、笹本もまた嬉しく思う。
笹本はファスナーを下ろし、ボトムスに手をかけた。
すると渋澤が軽く腰を浮かせる。
脱ぎやすいように腰を上げてくれたのだと理解して、下着も一緒に引きずり下ろした。
渋澤の性器は下着のゴムに引っ張られ、ぶるんと震えながら飛び出した。
「わ」
跳ね返った性器が笹本の鼻先にピチッとぶつかり思わず笑いが漏れる。
「ごめん笹本さん。あとで説教しとく」
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