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第200話

「説教って……ふふっ」 こんな時にまで面白いこと言わなくてもいいのにと、笑いながら目の前の屹立に手を添えようとするとその直前で止められた。 「ちょい待ち、はい、ばんざーい」 「こう?」 「はい」 渋澤は着ていたハイネックのカットソーをインナーごと、すぽんと笹本の体から引き抜いた。 空気に触れた素肌が寒さを感じてふるっと震える。 でもきっとすぐに熱くなる。 笹本は再び目の前の渋澤自身と向き合い手を添えた。 一度はしたことのある行為だが、あの時は自分の気持ちをはっきり伝えることが出来ず、思わせ振りに振る舞うことで小泉にまで誤解させてしまった。 しかし今日は違う。 自分の意思でこうしたいと思っているのだから、初めての行為に等しい。 笹本は口を小さく開けて先端をぺろ……と舐めた。 そこから滲み出ている透明の密が僅かにしょっぱくて、今度はそこを吸ってみる。 「ん……」 ─渋澤、感じてる。 渋澤の鼻から色っぽい声が抜け落ちたのをきっかけに、笹本は思いきって大きく口を開け、ぱくりと口に頬張った。 形を確かめるように舌を隈無く這わせた。 唇を窄めて首を動かしたり、笹本に考えられる愛撫の全てを施した。 「笹本さん、もういいよ、ここおいで」 途中で止められ口を離すと、透明な糸が唇の端から垂れた。 渋澤は笹本を後ろから抱き締めるようにして自分の脚の間に座らせ、腹や胸を指先で撫でながら首筋にキスを繰り返す。 今までこんなことしたことあっただろうか。 渋澤と抜き合いと称して触れ合った時はこんな恋人みたいな触れ方されなかった気がする。 そう意識した途端、更に全身が敏感になり、肌を撫でられる度、キスをされる度、ぴくぴくと身体が震えた。 渋澤の手が笹本の胸を揉むよう動いている。 おっぱいなんかないのに、とぼんやり考えながら渋澤の指の感触を追い掛ける。 その指はいつの間にかつんと前にせり出した胸の尖りを捉え、集中的に弄り始めた。 「そんな、とこ、僕、男だよ……?」 「男でも気持ちいいんですよ?ちゃんと俺の指感じてください」 渋澤は後ろから笹本の胸を覗きながら耳元で囁く。 何度も乳首を指先で掻かれ、摘ままれ、揉まれ、引っ張られているうちに胸の先から切なさが広がって腰が揺れた。 「ぁ……、あ、うそ……、や……っ」

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