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第202話
この後の事は大体予測できていた。
以前渋澤に、マッサージと称して後ろに指を挿入されたことがあるからだ。
思わぬ快楽に喘がされたのは忘れられない事実である。
恋人となった今、きっとそうされるだろうと覚悟は決めてきたつもりだった。
多分男同士のセックスはそこを使うのだろう。
不安がない訳ではない。
でもそれより、渋澤と繋がってみたい。
「いいよ、渋澤……、シても」
笹本が四つん這いのまま渋澤を振り向きながら言うと、ぴた……と渋澤の手が止まった。
「笹本さん男らしいっすね」
手の代わりに唇がそこへ押し付けられて、そんなところにもキスをされたのだとわかる。
「別に。僕の方が年上だし、譲ってあげてもいいかなって思っただけだし」
強がりで言った訳じゃない。
実はソコが気持ちよくなれるところだとうっすら知ってしまったから、シてもいいかなと思えるだけで。
「ありがとうございます。トロトロにしてあげますからね」
いつもと違う渋澤の妙に生々しい声が笹本の興奮を更に引き出す。
─渋澤に欲情してんだ、僕。
それを押し隠し「別に」と顔を戻したところで、尻にぬるりとした液体が触れたのを感じた。
渋澤が人肌に温めてくれたのか、ひんやりとした感じは一切ない。
その滑りが尻全体に広げられ、何度も撫でられ、その指がゆっくりと最奥の窄まりへと移動する。
「大丈夫だから息吐いてください」
「ん、うん、は、はぁっ」
「そう、上手、上手。前擦ってていいよ」
ぐぐっとゆっくりと渋澤の指が後孔を押し開くのを感じ、笹本は言われた通りに性器を扱いた。
前に意識を持ってきても、後ろの違和感が圧倒的に勝っている。
それを払拭する為にくちゅくちゅと音がする程更に激しく自らを慰める。
「すぐよくなるから」
不安な笹本の心を見透かした渋澤の発言。
自信ありげなその言葉の裏には、意外と勤勉な渋澤の知識でも隠れているのだろうか。
「は、早く」
「大丈夫。ここ好き?」
渋澤の指は後ろの浅いところで出入りを繰り返す。
「わか、んな……ぃ」
「ここは?」
指が増やされたのか圧迫感が増した。
しかしその指で先程とは違うポイントを突かれた。
トントンと突かれ突然快楽の波が押し寄せる。
「あ、そこっ、ふ、あっ、あ……あっ」
「笹本さん可愛い。お尻もすぐ気持ちよくなっちゃうね。ここ好き?」
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