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第203話
「んっ、すき、すきっ、ぃ……」
「俺のことも好き?」
どうして今そんなことを?と考える隙などない。
好きだからこうしているのだ。
好きだから。
「……ぅん、しぶさわ、も、すき、っ」
「俺も笹本さん、大好きです」
渋澤はそう言ってから笹本に覆い被さるように上体を背後から密着させ、繰り返し抽送させていた指の動きを早める。
気持ちよくて頭がおかしくなりそうだった。
「あ、も、だめ……だめ」
「いいですよ、出して」
どんどん性器に熱が溜まっていく。
そのままイったら終わるんじゃないかと思わず吐精するのを我慢する。
しかし、「イって」と鼓膜に声を吹き込まれ、かりっと耳朶を甘噛みされたその時、笹本の握っていた熱が弾けた。
「あ、あ、でる、だめ、あ、や、やぁっ」
びくんと全身を震わせながら後孔をひくつかせ、前からは白濁を吐き出す。
頭の中までひくついてしまったのか、真っ白になって何も考えられない。
只々気持ちよかった。
「ほんと可愛い。こんなエロい姿、誰にも見せらんねぇな……」
渋澤は後ろで動かす手を止めずに、今度は中で拡げる動作を繰り返していた。
「笹本さん、痛かったら左手上げて下さい」
「ん……、ふ、ふふっ……、歯医者か……」
また笑わせられてしまった。
それにも笹本の体をリラックスさせるという作用が働くのだから、計算の内だったりするのかもしれない。
しかし笹本にはそれに気付く余裕がない。
渋澤は指を引き抜くと脱力気味となった笹本の腰をぐっと掴み、己の滾りを後孔に押し付けた。
「息、吐いて」
「は、ふ……あ、あ……は、ぁ」
ぐぐっと急に質量のあるものが笹本の中に入り込む。
圧迫感は想像以上だった。
「きっつ」
渋澤の声が辛そうに聞こえた。
もしかしたら渋澤は自分とは逆の感覚であそこの締め付けに苦しんでいるのかもしれない。
「ご、ごめ」
「ん?なんで謝るんすか」
「しぶさわの、あそこが、ケガしたら、ごめん」
背後でぶふっと渋澤が吹き出す音がした。
「ふっ、くっ、く」と声を圧し殺して笑っている。
「何笑って……」
「笹本さん可愛いなぁって思ってさ」
その直後、腰を引かれながらずんっと渋澤の熱が再奥へと侵入した。
「ひっ、あっ……!」
「優しくしたいんだけど泣かせたくなるっていうか、めちゃくちゃ愛しいんすよ」
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