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第18話
次に笹本が気付いた時は、見知らぬ白い天井がまず目に入り、くりんと首を横に捻ると天敵渋澤が至近距離で口を開けたアホ面で眠っていた。
しかも首の下がなんだかゴツゴツするなと思ったら、どういう訳か渋澤に腕枕されている状態だった。
「ひょわっ!!」
思わず変な声が出た。同時に掛け布団を掴んだまま上体をがばっと起こす。
「いっ……」
途端にずきずきと頭が痛んだ。気持ち悪いし……。これは間違いなく二日酔いだ。
手で頭を押さえるとさらっと掛布団が身体から落ち、素肌に感じた空気の冷たさに肩を竦めぶるっと身体を震わせた。
─あれ……?
「ん……?え……えええええっ!?」
笹本は自分の姿に驚き目を見張る。
自分も隣で寝ている渋澤も、互いに裸だった。
─何が起きたんだ?何で裸!?しかもなんで渋澤が?っていうか渋澤まで裸!?え、まさかまさか……、男同士でいたしちゃったのか?
昨夜のいやな記憶が蘇った。きちんと覚えている。個室トイレで渋澤にキスされて男もイける口だろうって言われたこと。人事の新人をそういう目で見ていると言いがかりをつけられたこと。
……そしてその後浴びるように酒を飲み、……どうしたんだ。覚えていない。
笹本は頭を抱え周囲を見回す。今自分がいるところは見知らぬ部屋の見知らぬベッドの上だ。
床に置かれたローテーブルにカップラーメンやら菓子パンの空いた袋、つまりはゴミが散乱し、床にも雑誌や漫画、脱ぎっぱなしの服が落ちていた。
どこからどう見てもホテルではない。ということは、ここは渋澤の家……?
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