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第20話

不要な敗北感に浸っていると笹本の腹を抱えていた渋澤の手がするっと上に滑り、胸元へと移動した。 「……」 あれ?と思った瞬間、その手が笹本の乳首をふにっと掠めながらもぞもぞと動いている。 ─もしかして起きてる? そう思うのも無理はない。 渋澤の触り方が意図を持っているかのように怪しいのだ。 その手がまた笹本の乳首を掠めながら滑る。 これは一体どういうことなのかと考える間も与えられず、何度も掠められたそこは、次第に硬い粒になった。 決定的だったのは、硬くなった乳首をピンポイントでぐっと潰されたことだった。 「ひゃっ、し、渋澤っ、お前起きてるだろ!ふざけんなよっ」 背後の規則的と思われていた寝息が、徐々に乱れて荒くなる。 笹本は渋澤の狸寝入りを確信し、そのイタズラな手をぎゅっと握った。 これ以上のおかしな動きを阻止しようと思った。 「ぶっ……っくくくっ」 「も~~っ」 渋澤は後ろでもう我慢できないとばかりに笑い出した。 有り得ない。マジで有り得ない。 殺意すら覚える。 全ては渋澤の悪ふざけ。いつものイタズラだったのだ。 あれだけ言ってやったのに、どれだけ自分を軽く見れば気が済むのか。 怒りを通り越して最早呆れるレベルだ。 「これ、なに。っていうかまずその手を退けてくれる」 「えー、どうしようかな」 「はぁ?どうしようかなじゃねぇよ!お前僕の乳首触って楽しいの?裸で抱き合って楽しい?」 未だがっちり後ろから胸と腰を渋澤の手でホールドされ、笹本は抜け出せないでいた。 どうにかして解放されたい。

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