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第25話 全部、初めて

「んひゃああああっ、んぐ」  思わず、思いがけないおかしな声が出て、慌てて自分の手で口を塞いだ。そんな俺を、手をついて、体重がかからないようにしてくれていた和臣が目を丸くして上から眺めてた。 「そ、そそそ、そこ!」 「乳首?」 「ちちち、乳首! だけどっ?」 「いや、今、俺、そう言っただろ?」 「ああああ、あっそ」  キスしながら押し倒された。なんか、すげぇ、甘やかされてる感じの優しいけど深いキスで、俺は力なんて入らなくて、けど、心臓だけはバックバクだった。  その心臓のところにある乳首を指で押し潰されて、変な声が出たんだ。 「そ、そんなとこ、いじんのかよ」 「いじるよ」 「っん」  服の上から、今度は歯を当てられて、身体がぎゅっと縮こまりたがる。けど、和臣がいるからそれはできなくて、しがみ付いた手だけが力を込めた。 「そ、そういうもんなのか?」 「決まってはいないけどね」 「じゃ、じゃあ」  和臣は誰かとする時、乳首、いじってやってたのか? 「俺はね」  訊こうとしたけど、ヤキモチが邪魔をして訊けなかったのに、率先してお前が答えるなよ。ほら、喉がきゅっと息を飲んで、ちょっとイラっとする。 「けど、こんなにたっぷり」 「?」 「可愛がりたいって思ったの、初めてだよ」 「ん……ン」  ベッドに押し付けるように少し強めなキスをされて、アッシュブラウンに染められた柔らかい髪に指を絡めて、和臣の頭を抱きかかえた。 「ン、かず……おみっぁ……あっ……ンっ」  変な感じがする。乳首を服越しに押し潰されて、そんなとこ今まで一度だって意識したことなかったのに、布が擦れるだけで、声が出る。  声が出るけど、キスされながらだから、和臣に声を食われてるみたいで、ゾクゾクした。あの和臣に乳首いじられてることも、キスしながら我慢できずに溢れる唾液も、エロくて、ヤバイ。 「あ、和臣」  変な感じがしたはずの乳首がさ。 「やぁ……ン」 「剣斗」  どーしよ。これ、どーすんの? 「和臣、乳首、ヤバい、これ」  気持ちイイ。キスも乳首も、気持ちイイんだけど。なぁ、そういうもん? 「ちょおおおおお! ちょっ!」  とろけてたところで、いきなり、服を捲り上げられて、また慌てて、今度はスカートめくりをされた女子みたいに手で服を掴もうとしたけど、無理だった。 「っ!」  手で隠すけど、きっと見られた。乳首いじられて反応してるって、見つかった。 「ホント、お前さ」 「どっ、ンっ……ン、ぁっ、ちょっ……ンんんっ」  見つかってしどろもどろなところを押さえつけてキスされて、また、股間のとこが熱くなる。熱くて、バカになりそう。 「っぷは! ちょ、おまっ、だだだ、だって、これはっ」 「……可愛すぎ」  額をこつんって、合わせて、ふぅ、って、和臣が溜め息を吐いた。少ししんどうそうな表情、しかめっ面で、眉を寄せて。 「和臣?」 「好きだよ」  ズルくねぇ? 今、それ言うの、すげぇ、ズルいだろ。 「好きだ、剣斗」 「ン、んっ……んんんっ、ぁ、待っ……」 「見せて? 剣斗」  マジでズルい。好きってこのタイミングで言うのも、言いながらトロトロになるキスしてくんのも、キスしながら乳首をじかに触って、押し潰して、抓ったりすんのも。 「あ、はずっ……っ」  乳首とキスに力が入らなくなった脚を割り開くのも。ズルい。もうバカになってんだから、ガードなんてゆるっゆるになるだろ。 「んっ……」  クソ恥ずかしいのに。  上からじっと見つめられて、このまま恥ずかしさで爆発しそうになる。 「も、あんま、見んな」 「無理、見せて」 「ちょっ」  せめて手でくらい隠させて欲しかったけど、その手も捕まった。ベッドに押さえつけられて、逆に大の字にさせられ、どうにかして腰からねじってみるけど、そんなことしたって丸見えだ。 「ひ、引く? その」 「引くわけないだろ。っていうか、こっち」 「ぇ? ぁ……」 「引く?」  和臣の手に引かれて触ったのは。 「すげ……」 「ガッチガチ。これこそ、引くだろ」  和臣のが硬く張り詰めてた。これ、痛くねぇの? ってくらい。その形をなぞるように手を動かしただけで、すぐそこで和臣が息を詰める。きつそうなしかめっ面。さっきもそんな顔をしてたっけ。  これが、和臣のたまんないって思った時の顔。 「引く、わけねぇじゃん」  嬉しかった。そんな顔を見ることができて、そんな顔に俺がさせたんだって。  両手でその頬を包み込んで、引き寄せながら、俺も少し起き上がって、キスをした。齧り付くみたいに、覚えたばっかの深めのキスをして、和臣の真似をして舌差し込んで、絡ませながら、脚を自分から少し開いた。  だって、嬉しかったから。 「あ、和臣、もっと」  俺の裸を眺めてた和臣のそこがガチガチになってくれたのが、嬉しくて、乳首いじられて勃起してるとこを見たいって思ってくれたのが、たまらないから。  ベッドにふたりで沈み込むようにキスをした。 「もっと、して、和臣」  キス、たくさんしてくれ。乳首ももっといじって? そんで。 「早く、慣らすの、やろうぜ」  男同士のセックスは前準備が大変なんだろ? 慣らして、慣らして、ほぐして、慣らさないと、できないんだって。気持ち良くなくてもいいよ。もしも、気持ち良くなくても、きっと俺は嬉しいから。 「初めてでわかんねぇから」 「……」 「教えて、センセー」  嬉しくてたまらないから、すげぇ好きな人と早くセックスがしたくて、強く引き寄せ甘えた声でおねだりをしてみせた。

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