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第26話 ファーストセックス

 なんだっけ? 最初から気持ち良くなんてなれない、だっけ? 「あっ、んっ……はぁっ」  最初は、そんな感じだった。気持ち良くは、なかった。和臣の指が入ってきて感じたのは違和感と、あとドキドキがでかくて。股開いて、孔んとこを柔らかくしてもらうのを待ちながら、ローションを準備している音にすら、心臓がバックバクだった。  けど、今は、あんまちゃんと考えらんねぇ。 「あいつ、嘘ばっかじゃ、ねぇかっ、あああっ」  指が中でぐりっと回されて広げられる。内臓がぐっと押される感じがしてたのに、今は、それよりもなんかヤバい感じに、身体が熱い。  すげぇ恥ずかしい。ケツの孔に指入れられて、ローションのせいでエロ動画みたいな音させて、そんで、俺の好きな人がきつそうな顔をしながら、俺のこと見てる。 「あの一年が言ってたこと? まぁ……半分はホントで、半分が嘘だな」 「えっ、何、それ、あぁぁぁっ……ン」  また、和臣の指がどっかを押すと、じっとしてられない。腰が浮き上がる。背中がしなる。和臣の指が入ってるケツんとこがジンジンする。 「別にここ、そのためにある孔じゃないからな、最初からそんな気持ち良くなんてなれない」 「あ、あっ、やだ、そこ、押すな」  変なとこがあるんだ。今、和臣の指がちょっとだけ押した俺の身体の中にある、何か。スイッチみたいに、そこを押されると、勃起してるこっちもジンジンして、熱くて、たまらなくなる。いじってほしいけど、いじられると頭がもっとバカになりそうで、怖い。 「俺は剣斗とセックスするのめんどくさいって、思ってない」 「あっ!」  なぁ、やっぱ嘘じゃんか。 「あっ、ンっ……んんっ、和臣、キス、ンっ……ん、んんっ」 「ここ、前立腺」 「あ、ぜんりっ……ン、そこ、押すなっ、ダメっ、ン、無理っ」  キスで舌を絡ませながら、孔を和臣の指が広げる。ズボズボってされても、その、前立腺ってところをローションでぬめる指で押されて撫でられても、無理。なにこれ。 「あ、あっ、あぁ、ヤバ、気持ち、イイっ」 「普通、初めてで、前立腺は気持ち良くならないんだけどな。違和感すごいし、少し痛かったりもすんのに」 「……」 「剣斗? どうした? 痛かった?」  心配そうに覗き込んでる。バカ、痛かったら、こんなになってねぇよ。 「剣斗?」 「……和臣、処女とやったこと、あるんだ」  ただそれだけ。遊び人ってわかってたし、俺は和臣の初めての相手じゃないけど、でも、なんか、拗ねた。 「お前ね……」 「わかってるよ! わかってる! わかってるけど……やっぱ、羨ましい」  拗ねてむくれて、しかめっ面になった俺のおでこに和臣がやんわりと頭突きした。めっちゃ優しい頭突き。 「じゃ、セックス経験は豊富だろう俺が」 「ムカつく」  自分で言うなよ。和臣が抱いた奴全員に今、ヤキモチやいてる俺に。 「教えてやる」 「いらねぇ」  即却下した俺に苦笑いをこぼす。完全に拗ねたガキと変わらないけどさ。 「普通はもう少し柔らかくなるまでほぐしたほうがいい。特に最初は」 「……」 「けど、もう、入っていい?」 「……え?」  身体が触れ合って重なって、デコこつんってされた。 「本当に大事にしたいから、もう少し冷静にお前のこと抱くつもりだったんだけど」 「……」 「も、限界」 「和臣?」  すぐそこにある表情が苦しそうだった。 「恋愛なんてほぼしたことないよ」 「……」 「だから、こんなに好きな相手を抱くなんて、慣れてなくて、困ってる」 「和臣」 「今すぐ、剣斗の中に入りたい」  その苦しそうな表情を見ただけで胸が高鳴るような恋愛初心者の俺と、たくさんの人と付き合ったことのあるけど、恋愛の仕方がちんぷんかんぷんな和臣。なにそれ。 「いいよ」  それに気がついただけで、身体が気持ちイイ。 「早く、来いよ。俺ん中」 「……」 「俺も、欲しいから、痛くたっていいよ。マジで。もう前準備いいから、早く」  好き、だけで身体が快感にとろける。 「早く、和臣のこと、ちょーだい……ンっ」  言いながら、自分から全開に股開いて、抜けていく指にさえ甘えた声出して、次は和臣が欲しいと誘うように、腕で引き寄せた。 「ン、んんっ、ン、ぁ、んくっ」  齧り付くようにキスされて、和臣のカッコいい髪の毛をぐちゃぐちゃに手で掻き乱しながら、聞こえてくるゴムを用意している音に心臓破裂しそう。 「あっ……」  キスが、止まった。もう、来る。 「本当はバックのほうが初めてはいいんだけど」 「あ、やだ、俺、和臣の顔、見ててぇ」 「俺も」  和臣が身動いで、そんで、まるで、今からしますっていう挨拶みたいなキスをひとつ。 「……」  じっと見つめったのはきっと数秒。 「痛かったら、すぐに言えよ」 「ン、ぁっ」 「好きだよ。剣斗」  軽く、挨拶みたいなキスをしながら、とか、ズリいよ。 「あ、あっ」  脚を持たれて、押し広げられながら、和臣の指よりももっと太くて、もっと熱いものがそこを抉じ開ける。 「あ、和臣の……すげっ……ぁ」  指よりずっとでかくて、長いのに。 「あ、俺、どーしよ」 「剣斗?」 「初めてなのに、なんか、これ、嬉しくて、気持ちイイ、あっ、あああああっ」 「今のは、剣斗が悪い」 「あ、なんで、俺、なんもっ」 「お前が可愛いすぎて、挿れて五秒でイクかと思った」  ズンと、奥深くを貫かれたのに感じたのは違和感じゃなくて、気持ちイイ、だった。 「あぁぁぁっ、んっ、ぁ、やだ」 「剣斗?」 「もっと、して欲しいから、まだ、イったら、やだ」 「っ、ホント、困った」 「あ、あっ、ンっ……和臣っ、あ、あっ」  小刻みに中を擦られるとたまらない。太い竿のところがさっき教わった前立腺を擦ってくれるのが、気持ちイイ。 「あ、やぁっ、奥、ぁ、ぁっ、あああっン、ん、ンっ」  根元まで全部俺の中に捻じ込んで、そこからズルズル引き抜かれて、やだ、抜くなよ、もっと来てって、孔がきゅんきゅん啼いたら、また、ズンと奥深くまで、刺し貫かれて。どれもこれも、すげ気持ちイイ。 「ン、やぁっン、和臣っ、ぁ、そこ、ダメ」 「さっき教えただろ? 前立腺」 「ひゃっ、あっ……ン、ダメ、そこいじるな、よっ」  何されても気持ちイイんだけど? 「ン、あふっ……ン、んんっ、ンくっ……ん、ん、ンっ」  セックスみたいなキスをしながら、アッシュカラーの髪に指差し込んで、腕で首を引き寄せて、脚開いて、腰にしがみついて。 「あっ、バカ、乳首、ダメっ、そ、ダメだって、イくっから……それ、イっちゃうって」  たまらない。奥までズボズボされながら、乳首を甘噛みされて舐められて吸われてる。和臣が乳首とケツの両方で気持ち良くなってる俺を見つめてた。 「やああああっ」  見つめて感じた俺は背中を反らせて、和臣の舌へと乳首を押し付けてる。涎まみれの乳首に歯を立てられてたまらない。手を伸ばして頬を撫でてくれた和臣がすげぇ好きで、自然と掌に擦り寄った。 「あ、ああああっ、激しっ、ン……ん」  激しく突かれて、ベッドが軋むのもおかまなしで攻め立てる、和臣に俺はしがみつくのが精一杯だ。 「好きだよ」 「あ、も、無理、和臣っ! 俺、も、ぁっ」  やっぱ、大嘘だ。 「あ、イくっ、和臣っ」 「一緒にいこっか」 「ン、キス欲しい、和臣の舌、欲しっ」 「欲しがりなお前、ホント、可愛いわ」 「あ、あ、あぁっ、ああああああっ!」  初めてのセックスは気持ち良くなれないって、やっぱ、嘘っぱちだった。

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