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第41話 雑多なセックス、けど

「怒ってるからな」  ガタンって、玄関扉が大きな音を立てる。 「ン、ごめっ……ン、ふっ……ン、ぁっ!」  濃くて、痛いくらいに激しいキスに立っていられなくなった俺がよろけて、背中を打ち付けた音。 「あっ! あぁぁっ、イタッ」  服を強引に捲り上げられて、乳首を噛まれて悲鳴を上げた。 「ひゃっ……ぁ……ン、もっと、して」  その乳首を今度は舐めて濡らされて、たまらない声が我慢しきれず零れる。 「はぁっ、ぁ、ン」  うなじを鷲掴みにされて、そのまま首を強引に捕まれて、キスで印をきつくつけられた。痛みのある愛撫にさえ、まだ触られてない股間がジクジク疼く。 「どんだけ心配したと思ってんの?」 「ン、あっ」 「お前、ハッテン場なんて、マスターから連絡もらった時、心臓止まったんだからな」  あの人、すげぇ綺麗だったな。キョーヤさんだっけ。男なのに美人だった。あの人が一番長かったセフレ。初恋の人に似てるんだって、寂しそうに笑ってた。  きっと、あの人は、和臣のこと――。 「お前は、毎回、毎回っ」 「あ、もっと……ン、乳首、いじって」 「自分がどんだけ、そそる身体してるかわかってんの? この前、教えただろ。襲われたりしたら」 「ああああっ……ん、ぁ、それ、気持ちイイっ」  ヤバイくらいの快感が背中を駆け抜けた。乳首を口に含まれて、歯の切っ先を突き立てられながら、もう片方を摘み取られそうなくらい指でいじめられたら、立ってられない。崩れ落ちる。 「あ、あっ、ン」  けど、脚の間に和臣の脚があるから、崩れ落ちるどころか、股間を擦り付けてる。 「俺、怖かった」 「……」  ぎゅっと和臣に抱きつきながら、ぶっちゃけた。 「あんな場所って知らなかったんだ。なんかもっとこう飲み屋みたいなとこを想像してた」 「……」 「けど、俺はあのキョーヤって人みたいに細いわけでも美人でもないから、大丈夫って思ってた。様子見て、ふーん、っつって帰って来ようと思ったんだ。でも、男がこっち見て、誘ってきたら、怖かった」  和臣の肩にしがみ付く指が力を込める。俺は、あの時、目を逸らした。休憩所のタバコ臭い中で、じっと見つめられて、ガン飛ばされて俯いた。 「和臣以外となんて、無理」 「……」 「ありえねぇ。けど」  あんなのもう二度としない。ハッテン場なんて絶対に行かない。 「和臣には何されても平気だから」 「……」 「して」  のぺっとした裸。薄い胸板を一度捲り上げられた服の裾がスルスルと滑り落ちた。その布の擦れにすら反応する乳首も、もうズボンの中で、びしょ濡れになってる股間も、その奥も、叱って欲しくて、快感で痺れる指で自分の服を乳首が丸見えになるくらいまで持ち上げた。  舐めてって、誘うために、自分で唾液で濡れてツンと勃った乳首を見せつける。 「ここ……」  だって、俺の身体、男をその気にさせるんだろ? バリア代わりのキスマークつけておかないといけないくらいに、そそるんだろ? なら、この身体の全部、まるごと和臣のものにして。 「叱って?」 「叱ってなんて、誘い方、どこで覚えたんだよ」 「あ、ぁ」  怒りながら、見せつけた乳首を食まれた。 「あ、あぁ、あっ痛っ…………ン、んんんんんっ」  そのまま、きつく吸われた瞬間、下着の中が驚くくらいに熱くなった。 「あっ…………和臣っ」  胸にしゃぶりつくアッシュブラウンの髪を掻き抱きながら、射精の余韻に浸る俺は背中をまた玄関扉に打ち付けて、ガタンって、大きな音を立てた。 「あ、はぁっ……ン、ぁ、ぁっあぁっ」  玄関なんて場所で、セックスしてる。ハッテン場でやるよりももっと雑多なのに、愛しくてたまらない。怒られて、叱られてる最中なはずなのに、優しいセックスにとろける。 「あぁぁっン、も、和臣っ」  ほら、気持ち良すぎて、玄関のタイルに俺の先走りが滴り落ちてる。 「ン、んんんっ」  口の中を舌で乱されて、零れた唾液を拭った指で乳首をぬるりと撫でられて、指を咥え込んだ孔がきゅんって締め付ける。  半裸で、場所もかまわずするセックスは、さっきハッテン場で喘ぎ声だけ聞こえたセックスと変わらないはずなのに。こんなに違う。 「ベッドに……」 「あ、待って、和臣」  怒ってるはずなのに、俺をベッドに連れて行ってくれようとする手を引き止めて、逆に引っ張った。 「ここがいい。このまま、しよ」 「……ゴム、ベッドのほうなんだよ」  もっとしっかり握って、その手を離さないように力を込めた。そんで、ふるふると首を横に振る。 「剣斗」 「このまま、がいいんだって」 「おまっ、」 「このまま、挿れて、そんで、中がいい」 「っ」  もう見た目でわかるくらい張り詰めてた和臣のをズボン寛げて、撫でてから、握った。 「……これ、挿れて」 「っ、剣、っ」 「生で、和臣の、欲しい」  硬くて、先がまん丸で、熱いのを俺の中に挿れて欲しいんだ。 「ちょーだい」  すげぇ、好き。挿れられた瞬間から、嬉しくて幸せでたまらなく気持ちイイ。 「中、あとで掻き出さないとだぞ」 「ン、ぁ」 「普通は、生でなんて、そうはしないんだからな」 「ぁ、早っ、くっ……かずっ」 「それなりにリスクが、……っ」 「へーき」  齧り付くようにキスをした。 「和臣とだもん」  首にしっかり抱きついて、場所が場所で、雑多だけど。 「……だもん、ってお前」 「あっ、ン」 「可愛いすぎだ」  雑多なのに、すげぇ気持ち良くて幸せなセックスを和臣と今からしたくて、しっかりと抱きついた。

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