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第42話 好きと愛しいと恋でするセックス

 とろけそう。 「あっ、はぁっ……っ」  玄関扉に熱い吐息と一緒にキスしそうなくらいに縋り付きながら、ゴムなしの和臣の熱に孔んところが溶けそう。 「……ぁっ」  ほぐされて、柔らかくなった敏感な場所を、指よりもずっと太いものが抉じ開けていく。 「ンっ」  全然、違ってる。 「あ、和臣ぃ……」  生だと、こんなに。 「剣斗」 「ぁ、あっ、入って、ぁ……あああああっ!」  こんなに、ヤバイなんて。 「あっ……」 「剣斗」 「ン、ぁ、イっちゃった」  ずぶずぶって熱を捻じ込まれた分だけ、吐き出してた。 「ぁ、ンっ、和臣、ぁ、ダメ、それ、気持ちイイ」  ぎゅうってしがみつく内側を掻き分けて、広げて、和臣のがもっと奥まで浅く、深くを繰り返しながら入ってくる。 「ン、ふっ……んんっ、ン」  声が我慢できなくて、なんでもいいから口に欲しくて、自分の指を噛んでた。生の和臣の熱は熱すぎて、中がドロドロになっていく。イったはずなのにまだ反り返ってる自分のそれも、口の中もダラダラに濡れてて、おかしくなりそうだから、指を噛んで堪えてた。じゃないと、意識飛びそう。  それなのに、和臣の指が、俺の口の中も掻き乱す。 「こら、指噛むなよ」 「んんん、ン、ぁ、かはっ……はぁっ、ン、和臣の」  舌で指先をどけて、突き上げられて揺さ振られながら必死に名前を呼んだ。だって、それじゃあ、お前の指を噛んじまうだろって言いたくて。けど、言ったそばから和臣の指が涎でダラダラな唇を撫でて、また舌に触れる。歯の切っ先をわざとなぞりながら、グンって奥をペニスで貫いた。 「俺のは噛んでいいよ」 「ン、ぁっ……ふっ、んんん」  貫きながら、背中に身体ををくっつけて、囁きかけて、口の中も、ケツの奥も荒らしてく。 「ン、ぁっ」  激しくて、生の感触が刺激的すぎて、本当に指を噛みそうになるから、舌を絡めてしゃぶってた。しゃぶってるだけなのに、なんで気持ちイイんだよ。 「ン、ぁ、すげ、イイっ」  なぁ、舌も、変わるの? 「あああっ、奥、もっと、して」  違和感があったはずのケツを奥まで可愛がられて気持ち良くなっちゃうみたいに、なんの意味があってくっついてんだかわかんなかった乳首が布にすら反応するようになったみたいに、舌も変わるのか? 「んんんんっ」  性感帯に、なんの? 「剣斗」  全身が性感帯に変わるのか? 「あっ、はっ、はぁっ……んんんっ、ぁ、乳首」 「あんま、締めるなよ」 「ぁ、だって」  扉についてた手を繋がってる場所へ伸ばした。今、見えないけど、たしかに和臣のペニスが俺の中にあるんだって、指でも触れて確かめる。 「無理っ、これ、気持ち、よすぎてっ」  本当にゴムしてない。ほら。 「あぁぁぁっ、ン」  和臣が腰を引いて抜けていく竿のとこが、生々しい。 「あっ……はっ、はぁっ」  そして、そのまままた中にグンと突き立てられた。 「あっ……」 「やらしい。腰揺らして、尻をこっちに突き出して、背中くねらせて」 「ン、ぁ、和臣っ」  やらしい? そそられる? 俺とのセックスは。 「ぁ、和臣、なぁ」 「……」 「俺とすんの、気持ちイイ?」 「あぁ、すごく\  俺のテクなんてほぼ皆無。ハッテン場であんあん喘いで男を誘惑できるような感じからは程遠い。けど、気持ちイイ?  あそこで手っ取り早く繋げたセックスよりもずっとイイ? 狂おしく腰をついてくる和臣の表情に胸のところが熱くなる。こういうの、好き。なんか、愛しくてたまんねぇ。 「そっか、よかった」 「剣、」  背中を思いっきり捻って、手使って引き寄せて、キスをした。唇で触れて、離れる時にちょっとだけ舌で舐めるような、そんな程度のキスだったけど、たまらなく気持ちイイ。  和臣もそう感じてるって、その表情でわかるから、嬉しくて仕方ない。 「ン、好き、和臣」 「……」 「すげぇ、好き」  好きな人とするセックスだから、こんなに気持ちイイんだ。 「大好き」  ハッテン場でどんな美人で、どんなテク持ちで、どんなに名器でも、きっとこれには敵わない。 「だから、和臣、中でイって」 「っ」 「和臣の、中に、欲し、イっぁっ!」  手を離して、身体を背後にいる和臣に預けた。ずぶずぶに奥まで突かれながら、抱き締めてくれる腕にだけ寄りかかって。 「あ、も、イくっ……和臣」 「俺も、もぉ」 「あっ」  抱き合いながら小さなキスを繰り返して、視線を重ねて、身体を繋げる。 「あ、あっ、ぁっ」 「っ」 「ン、ぁ、キス、しよ」  ぎゅっとくっついてそのままイった。 「ぁっ……ン」  中に放たれる和臣の熱を感じながら、イった最後に零れた喘ぎ声は甘くて、そんですげぇ小さくて、抱き合った和臣にしか聞こえないくらいに、可愛い声だった。  いっぱい中にしてもらった分、今度はそれをいっぱい掻き出さないと腹イタを起こすんだと。でも、そんなん恥ずかしくて、風呂場でギャーギャー騒ぎながら、それでも掻き出されて、指でさえセックスみたいに気持ちイイから、またそこでも発情した。ようやく、ベッドに転がったのはもう日付が変わってしばらく経った頃。 「なぁ、和臣」 「んー?」 「あのさ、もうハッテン場なんて絶対に行かないし、過去のことも気にしない。ごめん。なんか、イヤだったよな」 「……」 「けど! 俺は! 和臣がどんなでも絶対に引かない。好きなまんまだよっ、だからっ」  抱き合って寝転がったけど、どうしても言っておこうと思って、身体を起こした。その頭をあの手がゆっくり優しく撫でてくれる。 「今週末、デートしようか」 「……え?」 「部屋デートじゃなくて、外デート。映画見に行く? 遊園地とかでもいいよ」  優しい掌は眠気を誘うのに、胸んとこがくすぐったくて、そわそわする。 「デートして、そんで、途中で雑貨屋に行こう」 「雑貨?」 「そ、合鍵につけるキーホルダーを探しに」  そう言って、和臣の優しい手がベッドの脇にある小さな棚から何かを持ってきた。 「……ぁ」  その手にあったのは鍵。 「本当は用意してたんだ。あったら便利だろ? お前も待ちぼうけしなくていいし、俺はナンパの心配をしなくていい。なのに、あの時、お前がどっかほっつき歩いてくるから」 「!」 「渡すタイミング見失った」  その鍵を俺にくれる。 「失くすなよ」  失くさない。っていうか、もう、なんなんだよ。 「あと、泣くなよ」 「なっ、泣いてねーよっ、ホント……何言ってんだ」  ナンパなんてされない。誰にもなびかない。俺は、世界一居心地のいい場所をもう持ってるから。 「ホント…………すげえ、好き」  その居心地最高な腕の中に自分からもぎゅっと抱きついて、そのまま眠った。爆睡だった。たくさんイチャついたからぐっすりだったんだ。  おはよ。  そんな挨拶と朝の光に照らされた好きな人の笑顔、それと昨日のセックスの名残にやられて、朝から腰砕けでふにゃふにゃでさ。  笑った。  力なんてちっとも入らないのに、それでも欲しかった和臣の部屋の鍵を俺はずっと握り締めたまま離さなかったから。

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