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第46話 他愛のない日常
展示会に俺の作品が参加できるなんてさ。そんなんすごくねぇ? こんなことってあるんだなぁって、なんかまだ一ヶ月先のことなのにもう胸んとこがじんわりと熱くなって感動してる。
だって、自分の作品を人前に並べて披露するのはガキの頃の夏休みの課題を見せ合ったあの時以来だから。あのときは――。
「へぇ、すごいな。パッチワークキルトってなんかもう芸術じゃん」
俺は展示会に向けて新作を作ってた。和臣がうちに来てのんびり寛いで寝転がるベッドを背もたれにして、パッチワークでキルト作り。
暇だろ? って、訊いたら、全然、って笑って答えて、おもむろに手芸本を読んでてさ。まったりとした空気が心地良かった。ひとりで黙々と作業してた頃とは違う、静かなのに、空気があったかくて気持ち良い。
「ほら、これなんて、もう絵だよ」
「あーうん。けっこうすごいよな。俺、こういうの好き。シンプルで」
指差して教えたのは白い布が少しずつ色を変えて幾何学模様に並ぶ大きなキルト。幾何学模様が複雑すぎるのか、白でも何色も用意しているせいなのか、ただの長方形のキルトなのに、まるで白い翼を広げたようなふわりとした印象があってさ。とにかく綺麗だなぁって。
「すごくね? これ、作業時間どんくらいなんだろ。この人も展示会来るのかな。こんな真っ白なでかいキルト、展示されてたら見惚れるよな」
キルトっつっても、ホント模様は人それぞれでさ。いくらでも見てられる。個性があって楽しい。
「剣斗は、こういうでかいの作らないの?」
「あー……うん」
俺が今作ってるのはそんな大作じゃなくて、リュック用のキルト。クッションカバーももう一枚、展示用に作って、がま口の財布もあったらいいかなぁって。あと、スリッパとかも時間があれば作りたい。
「飾るようなのじゃなくて、使えるのを作りたいんだ」
「……」
「ずっと飾るのばっか作ってたから」
誰にも話したことのない趣味だから、作っても使う機会はない。誰かに見せるわけでもない。
「和臣とペアでクッションカバー用に作ったの、めちゃくちゃ楽しかった。だから、展示用のも展示するだけじゃなくて、使ってもらえそうなもの作りたくて」
ほら、今だって、和臣が抱えてるそのクッション、ちゃんと使ってくれてるのがさ、内心、嬉しくてたまらない。
「だからっ……ン」
手芸って、楽しい。そう、最近すげぇ感じる。
「剣斗」
「?」
キスされて、ちょっと深めのキスにドキドキしながら、呼ばれてチラッと見上げる。
「少しだけ手芸の邪魔、してもいい?」
そして、俺のことをじっと見つめる和臣の視線に混ざる色気にとろける。
「い、けど?」
セックス、したくなった時の声が好き。聞いただけで、ほら、もう。
「……ン、ふっ……ん」
舌先が痺れるんだ。そんで、欲しくなる。このキスで濡れた唇で、舌先で。
「あ、ン……和臣、ここ、舐めて欲し」
「剣斗のおねだり……ホント、ツボ」
乳首をたくさん可愛がって欲しくなる。だから、ベッドの上に寝転がってる和臣の側に膝立ちになって、舐めてって、自分から服を捲って、ツンって尖った粒を見せつける。真っ赤になるくらいまでいじってって。
「あっ、あぁっ……ン」
それを口に含まれた瞬間、じわりって濡れるんだ。
舌先でたっぷり濡らされた後、硬くなったところに歯を当てられるとたまらない。いじってるのは乳首なのに、下半身が熱くなる。和臣の頭で見えないのに、そこが濡れて下着に沁みができてるのがわかる。
「うわっ」
強引に抱っこでベッドの上に押し倒された。
「……もう、こんな?」
「っ、だって」
指先に引っ掛けるように下げられたルームウエアと下着。そんで、もうカチカチになってる俺のを見て、和臣がセクシーに笑う。
「キスと、乳首だけで?」
「し、仕方ねぇだろっ! こんなふうにしたのはっ」
「俺?」
こんな時の和臣は意地悪だ。欲しがりな俺にもっと欲しがれって、ねだらせる。俺は――。
「そ、だよ。和臣がしたんだろ。俺の身体、こんなふうに感じやすくしたのは」
俺はこの意地悪でやらしい和臣がすげぇ好き。
「だから、ちゃんと、たくさんくれよ」
きっと大学のやつらは見たこともない和臣。頭良くて常に笑顔キープの爽やか和臣じゃなくて、エロくて、ズルい男の和臣。俺だけが知ってる、そんな和臣の首にしがみついて引き寄せて。
「俺のこと、めちゃくちゃにして」
そんなおねだりの言葉を耳元でできるだけ甘ったるい声で囁いてから、股を大胆に開いた。
「あっ! ン、和臣っひあっ……あっ!」
繋がった場所が熱くて溶けそう。四つん這いになって、和臣の熱欲しさに腰が勝手に揺れて、先走りが涎みたいに前から垂れて、シーツの上に敷いたバスタオルを濡らす。
「……剣斗の中、すごいことになってる」
「あ、なにっ……ン、ぁ、あんま、気持ち、良く、ねぇ?」
俺は気持ち良すぎて力が入らなくて、だから、和臣のこと気持ち良くできてないのかなって、そこをきゅんって締め付けた。硬くて太くて、根元まで来ると、奥まで刺さるそれを。
「っ、あのなぁっ!」
「あ、あぁぁぁぁっ!」
その瞬間、尻のとこを鷲掴みにされて、奥まで強く貫かれた。
「あ、深っ……」
「っ」
ガチガチに硬いのが俺の中を激しく行き来して、もうすっかり知られてるイイトコ全部を擦られて、クラクラした。
「和臣のこと、俺、気持ち良く、させられ、てる?」
振り返って、見上げたら、怒ったみたいな顔をして腰を振りたくる和臣がいた。激しくて荒くて、大学の構内を歩いてる時の姿からは想像できないくらいに雄っぽい。
「あんま、煽るなよ」
「ん、煽ってねぇっ、あ、ぁ」
「剣斗……」
「ン、あっ……和臣、かずっ……ン、も、俺、イクっ」
けど、優しくて、俺に甘いんだ。突き上げられながら、背中をくねらせると、ちゃんと気がついて、ほら。
「ン、んんっ、ン、ぁ、くっ……イクっ和臣っ、顔見てイきたいっ」
甘いキスをくれる。びしょ濡れになれる、やらしくて濃厚で優しいキスをしながら、一旦、繋がりを解いて、また来てくれるぺニスは荒々しくて、中をこんなに掻き乱す。たまらない。和臣のやらしいとこ、スケベでエロくて、そんで、イく寸前の、表情が。
「あ、……ン、あっ、もっ……」
「好きだ。剣斗」
「ン、んんんんんっ……っ!」
この表情が好き。イく時の熱にとろけた、すげぇ気持ち良さそうな、無防備な顔が。
「あ、和臣、ン、俺も、すげ……好き」
たまらなく好きなんだ。
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