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ポッキーゲーム編 3 キスっていうのは

 テレビの中からすごく賑やかな声が聞こえてきてた。新年明けましておめでとうございますって。テレビ画面の向こう側から新年の挨拶と笑い声がしてる。  きっとご近所さんでも、今のテレビ画面と同じに、起きて、改めて乾杯をしているとこもあるんだろうな。明日は朝からお参りだっつって早めに寝てるとこもあるかもな。  仰木と京也さんは夜、一緒に過ごすって言ってたっけ。初詣にそのまま一緒に行くんだってさ。お店の繁盛を祈願しないとって言ってた。一人で行けるのに仰木がついて来たがるって、文句の割にはすげぇ嬉しそうな顔してたっけ、京也さん。口はへの字だったけど、声がもう幸せそうな声だった。そんで、俺らは――。 「……ン」  俺らは、テレビの中から聞こえる賑やかな声を聞きながらキスをしてた。 「あっ……」  ポッキーを二本、俺が咥えたのと、和臣が咥えたのを食って、キスして、そっから……。 「あっ、ン」  和臣の上に跨ったまま、腰を掴まれた俺は、肌に食い込む、腰を鷲掴みにする指先にすら身悶えてた。 「はぁ……それ、気持ち、い」  身悶えながら、もっと乳首を和臣の舌に可愛がってもらいたくて、背中を反らせて、優しい唇に乳首を押し付けてる。噛んで、舐めて、吸ってもらいたくて。優しくいじめられたくて。 「あぁっ……ン」 「剣斗」 「?」  何? そう問いかけるように首を傾げてみせると、俺をもっと引き寄せてドキドキするほど身体を密着させながら、肌に赤いキスマークを和臣がくれた。 「俺なんかのどこがいいんだか」 「そんなの」  決まってんじゃん。  本気の恋をしたことがあった。失恋して、腐って、手当たり次第、誰彼構わず遊んでた。けど、胸に開いたでっかい穴を埋めようとしても埋まらなかった。そんな不器用な和臣も、含めて。 「全部だっつうの」 「……」 「俺は和臣からだけ全部教わりたいんだよ。あれ以外」 「あれ?」  来年も再来年もその次もずっと、新年を一緒に祝いたい。 「失恋。それだけいらねぇ」 「……あぁ」  和臣が笑った。 「俺も……それだけ教えたくない」  笑いながら、俺を抱き締めてくれた和臣に俺からキスをして、そんで、二人して炬燵のところにあるラグの上に寝転がった。 「あっ……」  部屋にはテレビの音と、濡れた音と、それから。 「あぁっ」  甘ったるい俺の声。 「はぁっ、あ、これ、深っ」 「剣斗」 「ン、あぁぁっ」  四つん這いで大胆に足を開いたまま奥深くを抉じ開けられて、背中を仰け反らせた。腰を掴まれてて、深くされても逃げられないのが気持ち良くて、前がじんわりと濡れるのがわかる。 「あ、あ、あ、和臣のが、なんか……中で、すげっ……あ、あ、あ」 「……剣斗」 「? あ、あぁあっ」  名前を呼ばれて振り返ると、ギリギリまで抜かれて、けど繋がったまま体勢を変えられる。脚を一瞬大きく開かされて、そのまま仰向けに寝転がると。 「あ、はぁあ……」  また深くまで抉じ開けられて、満ち足りたような、嬉しそうな安堵の溜め息が自然と俺の口から溢れた。 「なんもなかったよ」 「?」  何が? そう問いかけるように俺を組み敷く和臣を見つめた。 「キス」 「……」 「何も楽しくなかった」  ハッテン場で?  「けど、俺は、」  苦しそうな顔なんてすんなよなって、和臣に手を伸ばして、その首根っこを捕まえて引き寄せた。ぎゅぅうっしがみついてさ。そんでもっとしっかり捕まえるんだ。 「そりゃそうだろ」 「……」 「それ、キスじゃねぇもん」  キスっていうのはさ。 「ン……ん」  こういうのを言うんだぜ? 「ン、ふ……っ、あ、はぁっ」  キスをしながらゆっくりと和臣のが奥をついて、ゆっくり抜けて、またゆっくり中を。 「はぁ……ぁ、あ」  全部ゆっくりなのに。  全部、触れたところが気持ちいい。  蕩けそうなくらい、中がキュンキュンしてた。中を擦られるとゾクゾクぅってさ、腰の辺りがじんわり熱っぽく気だるくなる。 「あぁっ」  切ない感じ。 「お前はさ、剣斗」 「?」 「俺にたくさん教えてくれる」  俺が? 和臣に? 頭もよくないし、ぶっきらぼうな俺が? 「人を好きになるのって、幸せなんだなぁって」 「……」 「忘れてたことを思い出させてくれて、そんで」 「あっ……ン」  奥、来た。 「あぁ!」 「もっとすげぇ幸せばっかりくれる」  奥の深いとこを、腰を掴まれたまま、深く抉じ開けられて。熱くなる。 「ホント……」 「あ、あ、和臣っ」 「好きだよ」 「ン、んんん」 「わり、新年早々」  ちげーから。泣いたのは。 「馬鹿」  もっと奥まで来てくれよ。  もっと深くまで抉じ開けて。 「気持ちいーから泣いてんの」  ぎゅぅうってして。 「あ、これっ……キス、もっと」  奥をゆっくり可愛がられながら、キスで舌を絡め合った。 「ン……」 「剣斗」 「気持ち、ぃ……あ、あ、あ、もっと」  激しくないのに。ゆっくりなのに。 「あっ、和臣っ」 「っ」 「このままがいい」  最高に気持ちいい。ずっぶずぶに乱れてぐちゃぐちゃにとろけるんじゃなくて、すごくこの繋がれてる感じが。 「このまま、イク」 「あぁ」  和臣と繋がれてるのがたまらなく気持ち良くて。 「俺も」 「あっ……ン、ぁ」 「剣斗」 「ン、んんん」  甘くて美味しいキスをしながら、ゆっくり深く繋がった場所で二人一緒に達してた。

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