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真夏のプール編 11 独占欲に蕩けてく
も、無理。
「あ、……ン、む」
和臣に抱いてもらうことしか考えらんねぇ。
これが欲しくて。
「ん、ンっ」
これのことしか考えらんねぇ。
「っ、剣斗」
口をすぼめて吸ったら、和臣が息を詰めて、股間に顔を埋める俺の金髪を掻き乱した。
口いっぱいに咥えながら、ちらっと見上げると、イケメンの顔を歪ませて俺の口元を睨みつけるみたいに見つめてる。
気持ちいい?
頬の内側に先っぽのとこ自分から押し付けて、でかい飴玉でも入れたみたいに膨らんだ頬に興奮した?
「ん、っ」
口の中で舌を使って竿のとこを撫でたら、もっと硬くなったのが嬉しくて、もっと深く、むせそうになりながら脱ぎかけの和臣の海パンにしがみついて喉奥まで迎え入れた。
「っ」
唾液でびしょ濡れになった和臣のが、プールで濡れた俺の髪につくのもかまわず、もっとギリギリまで咥えて、ギリギリまで離して、形をなぞるみたいに唇でまた深く咥えてく。
「剣斗、こっち」
「? あ……」
「抜き合い。手、貸して」
言いながらまだ口で咥えたかったのにそこで止められて、キスで誘われるままに立ち上がると、もう勝手に先走りで濡れてる俺のと、俺の唾液で濡れた和臣のが一緒くたに握られた。
「あっ」
場所に興奮する。
和臣の少し強引で、けど優しくて、発情して熱くなった掌に興奮する。
「あ、それっ」
「気持ちい? 剣斗」
そう訊いてくれる和臣の低音の声が甘くて、蕩けそう。
「い、けど」
和臣の掌がすげぇ好き。あったかくて、熱くて。長い指はいつだって俺をトロトロに解してくれる。気持ちも、身体も全身、全部。
「い、けど、待っ」
ここで。
早く。
すぐに。
「剣斗?」
「手、じゃヤダ」
「……」
これが欲しい。
「剣斗、お前ね。今、ローションないから」
今日、和臣のこと見てた奴たくさんいた。和臣としたいって思ってる奴。けど、できるの俺だけだから。していいのは、俺だけ。
和臣とこうしてていいのは、俺だけ。
「こっち」
だから前でだけイきたくない。
ラッシュガードをいっぱいに捲り上げて、昨日の和臣にたっぷり可愛がられたってわかるキスマだらけの裸を見せつけてから、後ろを向いた。
水着を太ももまで下ろしてから。
「ここに欲しい……」
壁に手を突きながら、腰突き出して、俺には見えないとこ、けど絶対にキスマがある太腿の付け根を見せつける。
こうしたら見えるだろ?
昨日、たくさんそこにキスされたからきっとある。
この辺りに。ほら。和臣がつけた痕が。
「……」
それが見えるように脚を広げて、手でよく見えるようにもっと広げて。
「ローションなくていいよ」
ほら、和臣のが濡れてる。
「剣斗」
俺の中に欲しいから、たっぷり濡らしたんだ。俺の口の中で。舌で。唇で。
「早く挿れて……」
それに昨日もしたんだ。ここ、柔らかいし。
「お前ね」
「あっ」
後ろから前に伸びた手が俺の興奮に濡れたのを握って、その優しい掌を濡らした。
「っ」
それからその濡れた掌が俺の後ろを撫でて、指が優しく中に入ってくる。
「っ、ぁ」
長い指は慣れた感じで俺の中を何度か撫でてくれる。
「っ」
また先走りを追加で手に塗って、それを中に塗り込んで。
「ふっ……ぅ、ンン」
長い指が二本、根本まで俺の中に入ってきた。
「声」
「っ」
「抑えて」
指、じゃねぇ。
「っ、ふっ」
和臣の生の熱が触れた。
「っ……っ」
そのまま。
「剣斗」
「っ、っ、っ!」
いつもよりも滑りの足りない挿入が、やばいくらいに、気持ちいい。ゆっくり、慎重に、けど、腰を掴んでくれている手は指の痕が付きそうなくらい力強くて、前を握って、快感で身体を柔く仕立てようとしてくれる手が気持ち良くて、和臣の熱が奥まで届くだけで頭が痺れてく。
「はっ、はぁっ、はっ、あっ」
更衣室の一角から着替えてるだけじゃ溢れることのない乱れた呼吸と濡れた音。
(イッた)
「! っ、っ」
耳にキスしながら甘い低音がそう呟いて、前を握っていてくれてた手が、イッたばっかの俺のを何度か扱いてくれる。
「っ、ンンンン」
それから溢れて俺のでもっと濡れた手でギリギリまで引き抜いた自分のをもう一回濡らして。
「あっ、はぁぁぁっ」
今度は深く強く、貫かれた。
たまんなくて。
何も考えられなくて。
俺はただ我慢できない声を手の甲で押し留めるように自分の口を塞いで喘いでる。
「あっ、ンン」
それでも濡れた音がする。
それでも床から十センチ空いた扉の隙間から、今ここに二人入ってるってわかる。
いつ誰が「楽しかった」なんて言って着替えに来るかもわかんねぇ場所でセックスしてるって、簡単にわかる。
「剣斗」
「?」
「今日、プール、俺が行きたくなさそうだった理由知りたい?」
熱くて、溶けそう。
「ガキみたいな理由」
すげぇ好きなんだ。マジで、和臣のこと、好き。
きっと俺のほうがずっとたくさん好きで、夢中で、必死で。
「プールってさ、髪濡れるじゃん」
「っ」
好きって必死に告ったのは俺で。
「濡れたら、お前、セット乱れるだろ」
和臣がそもそも好きなタイプは俺から一番遠い、色っぽくて、華奢で、美人、だから。
「そのお前をよそに見られたくなかったから」
「っ、っ」
「こうしてると、やばいくらいに可愛いからなだけ」
「っ」
俺のほうがずっとたくさん好きで。
「なのに、トイレでナンパされかかるし、このラッシュガード、エロいし」
夢中で。
「結局」
必死で。
「俺が一番、剣斗のこと」
「あっ、ヤバい、あ、あ、あ」
奥を攻め立てられたらダメなんだ。とろとろに解けて蕩けて、奥から頭のてっぺんから足のつま先まで、壁にしがみつく指先まで、全部気持ち良くてたまらなくなる。
「襲いたくて仕方なかったよ」
「っ、あっ」
「剣斗」
「っっっっ」
激しく腰を打ち付けられて、壁にしがみついた手を和臣の優しい手が絡めとって、握ってくれる。ここがどことかガン無視して中をいっぱいに突いて、揺さぶられて。
「お前、可愛すぎ」
「っっ、あっっ、っっっっ!」
一番奥で和臣がイった瞬間、頭ん中真っ白になった。
「剣斗」
意識飛びそうなくらい気持ちいいセックスだった。
「俺のだから」
見せてくれた独占欲と。
「よそ見、しないように」
世界で一番甘くて好きなその声が嬉しくて、しがみつくようにキスをしたんだ。
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