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 気の良い性格と優しげな容姿のおかげでますます大黒屋の人気が上がっており、世間ではまだ隠居もさせてもらえないほど、弥兵衛は求められていた。  しかし弥兵衛は老いていくほど、虚しさを感じる。  人々に親しまれるのも良い。『仏の弥兵衛』というあだ名も悪い気はしない。  しかし、である。父親に言われるがままの道を歩き、遊女と遊んだことすらもない自分は娯楽も知らないまま老いていく。  そういう自分がどうにも惨めに思えて仕方がないのだ。  そんな時だ。浅治郎と出会ったのは――

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